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全国選手権への出場を目標に練習にはげむ鈴木 |
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浦和東の守護神・鈴木智幸(3年)が、夏の高校総体に続く全国大会出場を目指す。鈴木はU−18代表候補のGK。浦和東では主将として5年ぶり4回目の全国高校選手権出場を狙う。6月にはU−18代表に初選出されてオランダ遠征に参加し、日の丸の重みと責任、さらには同年代の選手の代表として戦える喜びを感じながらプレーした。10月13日から行われるU−18代表候補トレーニングキャンプにも参加が決定。高校ナンバー1GKの誇りを持って11月1日からの全国高校選手権埼玉予選に挑む。
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大宮GK川島を目標に浦和東へ進学 |
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鈴木がサッカーを始めたのは小3の時だ。現在はGKを務めるが、始めた当初はFWだった。「GKは絶対にやりたくないと思っていたんですけどね。痛そうじゃないですか」と話していたが、気がつけば自分のポジションはGKになっていたという。鈴木がサッカーを始めた時と前後してJリーグが開幕。「やるからにはプロになりたい」と厳しい練習にも決して弱音をはかなかった。
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主将の鈴木(左)はランニングでも先頭に立ってイレブンを引っ張る |
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とはいえ「当時はまだ遊びの延長だった」という。「今の練習の度合いを100とするならば、10にも満たないぐらい」と本格的なトレーニングには程遠かった。しかしGKとしての才能はみるみるうちに開花し、中2で浦和市選抜(当時)に選ばれるまでになった。
浦和東への進学を決めたのは、監督である野崎正治氏からの強い推薦と、現在U−20代表GKとして活躍する同校OB川島永嗣(20=大宮)の存在だった。「川島先輩が1つの大きな目標だったので、その先輩がいた高校で是非プレーしてみたかった。他の学校からも誘われていたんですが、川島さんがプレーした高校でやりたいという気持ちが決め手になった」という。まだ中学生の時に浦和東を練習で訪れた時に感じたオーラに圧倒された。「味方に指示する声がすごかったし、周囲から信頼されていた」。川島の卒業と入れ替わりに入学した鈴木だが、今でも川島に少しでも近づこうと思っている。
今年5月に初めて日の丸をつけた。U−18代表のオランダ遠征に帯同し、クルーズ・アズール(メキシコ)との試合にフル出場した。「周りに助けられた部分が大きかったのですが、声を出してのコーチングなど自分の持ち味が通用したところもあったと思う」と自信をつけた。現在、GKとしてU−18代表候補に選ばれているのは鈴木、松井謙弥(18=磐田ユース)西川周作(17=大分ユース)の3人だ。「2人に比べて足りない面もあるかもしれないけど、それはこれからカバーしていきたい。自分の長所は声を出せるところ。そこをアピールして代表でレギュラーをつかみたいですね」と、目前に迫るアジアユース予選グループ出場に向けても意欲を見せる。DF陣にしっかりとした指示をするためにはサッカーをより深く理解していなければならない。頭を使い、大きな声で味方に指示を出すサッカーこそ、尊敬する川島が行い、鈴木が目指しているものだ。
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急死した先輩のためにも選手権に出場したい |
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的確なコーチングを武器に、浦和東とU−18代表でチームをけん引するGK鈴木 |
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鈴木の現在の目標は、高校生活最後の大会となる全国高校選手権大会への出場だ。高校1年時の同大会埼玉予選からレギュラーポジションを獲得したが、1年時は決勝で浦和南に敗退、昨年も準決勝で散った。「一昨年、昨年と全国選手権の1、2回戦で運営サポーターをしました。パンフレット販売やボール拾いをやっていたのですが、間近でプレーする選手たちを見ると余計悔しかった。なんであのピッチに立てなかったんだろうって。高校総体にも出場しましたが、やはり選手権という目標は特別なもの。昨年の国見と市船橋の決勝戦を見て、“あのピッチに立ちたい”という気持ちが強くなりました」と話す。選手権の会場となった埼玉スタジアム2002は、浦和東の目と鼻の先にあり、練習するグラウンドからはスタジアムが見える。今冬、運営サポーターとしてではなく、選手として埼玉スタジアムのピッチに立つと心に誓い、泥だらけになりながら毎日練習に励んでいる。
すでに埼玉では予選が始まっているが、国体のための県選抜チームに鈴木を含め6人の選手が選ばれた浦和東はシードされ、決勝トーナメントからの出場となる。他の高校よりも約1カ月遅れたスタートに「準備期間が長いと考えればプラスですが、他は試合をこなしてチームとしてまとまってきているだけに危機感もあります」と言う。夏の全国総体に出場しているため、当然ながら、他のチームは打倒浦和東を目標にしている。「僕たちもチャレンジャーであるという気持ちは忘れていません。1つ1つ着実に勝ちたい」と口元を引き締める。
さらにどうしても選手権に出場したい理由がある。それはお世話になった先輩への恩返しだ。入学直後の4月、同じGKで1つ年上の徳永充宏さんが突然亡くなった。「徳永さんとは、(高校に)入ってすぐ仲良くなったんです。練習もいつも遅くなるまで一緒で、高校での部活に慣れない僕たちに本当によく接してくれました。徳永さんのことを知っているのは、僕たちの代が最後。だから今年は徳永さんのためにも、そして3年間お世話になった野崎先生のためにも、絶対に選手権に行きたい」と熱く語る。機は熟した。「いずれはプロを目指したい」と話す鈴木は、U−18に、そして選手権予選に自分の全てをぶつけるつもりだ。
M E M O
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◆鈴木智幸(すずき・ともゆき)
1985年12月20日埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。新開(しびらき)小3年でサッカーを始めた。好きな選手はデンマークのシュマイケルと高校の先輩である川島永嗣(大宮)。両者とも「存在感がある」。家族は父實さん、母喜美栄さん、姉夏樹さん。183センチ、70キロ。血液型A。
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