日本と海外の初の排出量取引、週内にウクライナと最終合意へ
[東京 16日 ロイター] 京都議定書に基づく日本初の排出量取引について、日本が現在交渉中のウクライナと週内に最終合意する見通しが明らかになった。複数の政府関係者がロイターの取材に答えた。
また、現在交渉中のチェコやロシアなど約10カ国のうち、ポーランドやハンガリーとの交渉は遅延しているもようだが、他の東欧の1カ国との数千万トン規模の取引について4月にも最終合意したい意向だ。
関係者によると、日本は、2008年度と2009年度にウクライナから排出枠1500万トンずつ、計3000万トンを購入する。週内に最終合意する見通し。価格については「市場価格に比べてそん色のないレベル」(関係者の1人)と明らかにされていないが、2008年度は排出権購入の予算として計上されている約340億円以内に収める。日本が外国政府から海外から排出枠を調達するのは初めてで、日本政府としてはさらに調達を進める方針。
日本が東欧の数カ国と基本合意する見通しの排出量取引は、具体的な環境対策と関連付けられた排出量取引の仕組みである「グリーン投資スキーム」(GIS)。東欧諸国は旧ソ連邦を中心に排出余剰枠を抱えている。日本の交渉相手国はチェコ、ポーランド、ロシア、ラトビア、ベラルーシなど約10カ国。日本はこのうちの1カ国と4月にも数千万トン規模の排出権調達について最終合意にこぎつけたい意向。
ポーランドとの交渉に関しては「相手側の制度の違いから、なかなか進まない」(別の政府関係者)、またハンガリーとも「うまくいっていない」(先の関係者)という。
京都議定書では、日本の温暖化ガスの排出削減目標は1990年比で6%。ただ、排出量は増大する傾向にあり、国内の努力だけでは達成が困難とされる。このため、日本の削減分として算入できる排出権獲得に向け、他国に排出権として売却できる余剰が生じている東欧諸国との間で交渉を進めてきた。日本は2008年から2012年までの5年間で排出権を計1億トン取得する方針。これまでは、途上国で温暖化ガス排出を減らすプロジェクトに投資し、見返りに排出権を得る「クリーン開発メカニズム」(CDM)だけだった。
(ロイター日本語ニュース 吉池 威記者、前田 りさ記者)
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