プリンスホテル系列のグランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が、日教組の教育研究全国集会(教研集会)参加者の宿泊を拒否した問題で、警視庁保安課などは17日にも、旅館業法違反の疑いで、プリンスホテルの渡辺幸弘社長(61)ら4人と法人としての同社を書類送検する方針を固めた。
保安課などの調べでは、ホテルは昨年2月に予定された教研集会の際、合法的な理由がないのに、集会の参加予定者190室分の宿泊予約を取り消した疑いがもたれている。
ホテルは前年11月、「街宣活動などにより、ほかの宿泊客や近隣に迷惑がかかるおそれがある」などとして会場の提供を拒否。集会参加者の宿泊予約も解除していた。
旅館業法によると、ホテルや旅館は、空室がない場合と、宿泊客に伝染病や違法行為の恐れがある場合を除いて、宿泊を拒否してはならないとされている。違反した場合は、2万円以下の罰金。
同課などは、ホテルの担当者らから当時の事情を聴くなどして捜査。ホテル側は「受験生が多いシーズンで、周囲には病院もある。集会を開けば、街宣活動などで、周辺の安全が脅かされる可能性があった」などと説明したという。しかし、こうした理由での宿泊拒否は認められないため、同課は同法違反の疑いで書類送検する方針を固めた。
この問題では、ホテルを監督する港区が昨年4月、ホテルを厳重注意処分にしている。港区によると、同区保健所がホテルの担当者から事情聴取を行い、宿泊拒否は同法違反に当たるとの判断を伝えた。ホテル側は「重大に受け止める」と謝罪したという。
日教組側はホテルが会場提供を拒否したため全体集会が中止になったなどとして、ホテルと役員を相手取り、慰謝料など3億392万円と新聞への謝罪広告を求める損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こしている。
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