・・・気づけばもう、とっぷりと陽は暮れかけていた。。。
そういえば、いつの間にかお茶を楽しむお客さんよりも、カクテル系を注文してくるお客さんが増えてきた。
翔もさっきから、カクテルばっかり出している。
・・・翔はカクテルが似合うなぁ・・・
あの店に居るより、カクテルが似合うような気がする。
実はこっちの店で働いているほうがいいんじゃないのかなと思うくらいに。
でも、あっちも凄く輝いてるけれど。
夜だから不健康な気がして仕方ない。
だってあの頃の翔は、目が赤くて・・・うさぎさんみたいだったんだもん、今は、多少私がメールしたり連絡してたりするから安心してぐっすり眠れてるのかもしれないけど。
翔はそういう友達との付き合いが主だったから、仕方ないのかなぁ。。。
翔は最近、私と付き合いだして、そういう友達よりも、自分の体を大切にするようになったみたいで、、、でも本当は複雑だった。
私に、惑わされてないのかと。
それを話したら。
「酒ばっかでもよくねえだろ。。。」
だって。
変わったよねぇ翔も。。。
まぁ私も洒落たカクテル飲むのも好きだったけれど、スイーツだって、おいしいご飯だって、大好きなの。
それにしてもバナナジュース飲む翔の姿には、驚かされたけど・・・
向こうでは、無理してグレープフルーツジュースとか、すっぱい系のジュースばっかり飲んでたからね。・・・
背伸びしてたんだろうって事がすごく伺えた。
翔も、
「うまそうなカクテル」
とか冗談を言いながら、もうさっさとテーブルb憶えて配っちゃってる。
接客経験なんて、未だ聞いたことないぞ?
結構プロ意識とかあるんだろうなぁ・・・
気楽に働けばいいのに・・・
本当に翔は何を考えているのか謎だった。
まぁいいや・・・
でも本当、気になる人だなぁ、いろんな意味で。。。
「気楽は無理だって。」
さらっと言ってのけるし・・・
まったく、、、何を言ってもそうだもんね・・・
好青年気取ってんじゃないよ本当に・・・
こっちの身がもたないって話だよ。。。
なんてこいつは本当に・・・
本当に憎いのに憎めないのが悔しいくらいだった。。。
お洒落なものや綺麗なもの、都会的なもの、野生的なもの・・・・
なんて似合うんだろう・・・
それから、結局は、翔のファンが増えるんだよね。
夕方のお客さんは、まだ翔のこと知らない人が多いけど。
カップルで来るから、そういう人が多いのかな。
一部で気づいてくれるお客さんもいたけど。
噂を聞きつけて、来るお客さんもいたし。
でも、翔にちょっと挨拶するだけで、深話はあの女子どもみたいにしなかった。
やっぱりマナーがあるお客さんは違う。
だから、喜んで翔は応対していた。
「ショーパブ今日は休みなんですけど、よかったら遊びに来てください」
と、名刺まで渡していたから。
翔は大人なお客さんに弱いみたいだった。
ていうより、あの女子どもが広めるんだろうね。
でも、ミーハーっぽくないから、翔はその分幸せだね。
大人しいお客さんだもん。
よかったね。
騒がれるのが苦手な翔。
瑠美さんはきっと、・・・寂しがりやなんだ。
だから翔みたいな輝いている人じゃないと、寂しいんだ。
でも、翔は、瑠美さんは甘やかせないって言ってた。
「だってあいつ付き合ってる奴いるくせに俺んとこばっかりだもんなー参っちゃうよ」
それだけ翔は可愛がられて育ったって事だよね。
私とは違う。。。
私も自分のことは自分でやるタイプだけどね。
だけど翔には本当に心配ばかりかけてきた。
心配かけたくない。
だから、ここで働いてもらえるんだったら、本当はいてほしいんだけど。
無理は言えないんだよね。
だってあっちの事情だってあるから。
きっと向こうはしばらくはやめられないんじゃないかな。
こっちは向こうが休みのときにでも働いてもらえたらいいなと思った。
でも、体に無理が生じる時はゆっくり休んでほしいなと思うし。
「だからーーー・・・瞳に逢いたいから仕方ないじゃん」
冗談とも本当とも取れるようなことばっかり言うしなー・・・困ったよ・・・
そして、少しだけお客さんが減ってきた時に、
「瞳、翔くん、今日はありがとう。翔くん、少ないけどこれ、よかったら」
店長が、翔にお給料袋を差し出す。
その中には5000円が入っていた。
・・・多すぎじゃない?
「これで飯でも食いに行こうぜ!」
翔はノリノリだった。
それでも、、、翔はこの店の数倍くらい稼いでるはずなのに・・・・
本当に翔はこの店が気に入ってしまったらしい。
私の店じゃないのに。
でも、私もこの店好きで、此処で修行して、独り立ちしたいっていうのは同じキモチだけど。。。
何か無性に照れくさくなった。
波長が似すぎなのかな・・・・
「翔さん、また来てね。待ってるから」
「妙子、面倒かけたね、ありがとう。また明日ね」
そして私たちはお店から上がって、出かけることになった。
本当はこんな恥ずかしい格好なんて見てほしくなかったのに・・・
Gパンに、色付きのブラウス姿なんて・・・まぁいいか・・・しかも腕まくり姿だったし・・・
「ねぇ・・・いつから来てたの?」
「ずっと前からだけど・・・店が休みのときしか、来れないから。店が休みじゃないと、酒が入っちゃって、、、昔迷惑かけたことがあって、それなのにショーパブだけは続けろって。だから・・・それからは、休みの時にしか行かなくなった。瞳にも迷惑かけそうだし、これからはもっとちゃんとしなきゃな・・・」
翔に何があったのか。
昔迷惑かけたって、どういうことなんだろう。。。。
体、弱いわけじゃないんでしょう?
大丈夫なんでしょう?
「本当に迷惑かけたんだよ・・・前本当に好きだった奴がいて。。。瞳とは違う人間だった。あいつだよ、瑠美だよ・・・だからあいつとはもう付き合えない。あいつにははめられた。だからもう、瑠美には逢いたくなかった。。。瑠美も、無理には飲ませないだろうけど、あいつはまた俺に会って何をやらかすか訳わかんねぇから。瑠美は好きな奴がいても、そういうことする奴だったから。だから絶対許せねぇ、あいつだけは・・・あいつは、今付き合ってる奴がいる。俺とは違う奴だ。もっと、誠実な男だ。だから、あいつには、そういう奴と幸せになってほしいんだ・・・本当に好きな奴には裏切られたくなかった・・・もうあの店には行けねえ・・・」
「翔・・・あの店に行こうよ。私は大丈夫だから・・・瑠美さんがそんなことしたら、絶対にちゃんと注意するから!」
「さんきゅ!でも、俺は今日だけは、あの店には行かねぇ!」
強情ッパリな翔。
私は、無理な事を言ってるわけじゃない。
そんな時である。
「瞳ちゃん、こんにちは」
目の前に、美しい女の人が立ってた。
・・・・見たこともないような、フランス人形みたいないでたちをしてた。
「・・・お前・・・・・・・・・」
え?る、瑠美さんなの?誰かと思った!
「やっと逢えましたね。こないだはどうも。また、あの店で飲もうよ、翔も一緒にね」
見たくないものを見てしまったと、翔は思った。
「翔・・・・?」
「瑠美さん、やめてください!私たちはそういう仲では在りません!だけど、翔に、そういうことをするのだけはやめてください!もし、翔とあなたがそういう仲だったとしても、それは今のあなたには関係のないことなんです!」
「瞳ちゃん、あなた何言ってるの?あなたは、私が誰だか知っててそんなことを言ってるの?やっと瞳ちゃんに逢えたと思っていたのに、残念だわ。。。とても残念だわ・・・私は、翔もあなたも赦せない。許せない!!!!」
そう言って、、瑠美は私たちのところを離れ、店に入っていく。
私は、胸騒ぎがした。
まさか、瑠美が・・・そんなことをするわけない。
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