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【主張】奨学金滞納 借りたものを返すは常識

2009.3.16 02:10
このニュースのトピックス主張

 奨学金を借りても返さない滞納者の増加が深刻な問題となっている。制度見直しが急務だ。

 大学生などを対象に奨学金事業を行う独立行政法人「日本学生支援機構」によると、3カ月以上滞納し回収不能の可能性がある延滞債権は平成19年度で約20万人、2200億円超だ。

 国の奨学金制度は貸与制で、卒業後に返還される金は次の奨学金原資として活用されるものだ。

 滞納が増えれば原資を国費から補填(ほてん)せねばならず、政府の財政制度等審議会などでも厳しく批判されている。回収強化や制度見直しが求められているのは当然だ。

 奨学金予算は年々拡充され、大学生約300万人の3割にあたる約100万人が奨学金を受けている。貸与条件は無利子貸与で親の年収が998万円以下、有利子で1344万円以下などだ。成績条件は有利子の場合、「平均以上」などそれほど厳しくない。

 サラリーマンの平均年収を超える年収1000万円以上の家庭でも奨学金を受けられるのが現状だ。奨学金をもらうのは苦学生ばかりではなくなっている。

 文部科学省や学生支援機構は23年度までに延滞債権の半減を目指している。具体策として同機構は滞納者を金融機関などが加盟する個人信用情報機関に通報することや滞納率の高い大学名を公表する方針だ。

 こうした滞納抑止策に「脅迫的」「大学のイメージダウンになる」などと反対がでているのは疑問だ。急速な景気悪化で卒業後に就職できないなど不安はあるだろう。だが病気や経済的理由があれば申請して返還が猶予される制度もある。

 理由のない滞納は許されない。卒業シーズンを迎える中、後輩らのためにも借りたものは返す責任を自覚してほしい。

 国の奨学金は在学する大学などを通じて申し込まれるが、卒業後の住所が不明で督促できなくなるケースも相当数ある。

 奨学金は優秀な学生が勉学を続けるため大学にとっても欠かせない制度だ。学生を追跡調査し返還させる大学の責任も重い。学生が払えないなら大学が保証する制度も必要だろう。

 景気悪化の中、奨学金の重要性は高まっている。大学などが独自に行う奨学金などと合わせ、本当に困っている学生を支援する奨学金制度にせねばならない。

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