同大学行動医学研究所のEric V. Yang氏らは、3種類のメラノーマ細胞株をストレスホルモンであるノルエピネフリンに曝露し、これらの細胞が放出する蛋白(たんぱく)である、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インターロイキン-6(IL-6)、IL-8の濃度の変化を検討した。VEGFは成長する腫瘍に栄養を送る血管の新生を促し、IL-6、IL-8は腫瘍成長に重要な役割を果たす。
研究の結果、すべての細胞株で3種類の蛋白産生が増加。最も活動性が高く、進行性のメラノーマ細胞株であるC8161では、IL-6が2,000%増加した。未処置のC8161細胞では、IL-6はまったく検出されなかった。このことは、ストレスが活動性の高いメラノーマに悪影響を及ぼしており、IL-6レベルの増加がその指標の一つとなることを示している。ノルエピネフリン分子が、癌(がん)前駆蛋白の放出を刺激する癌細胞表面の受容体に結合することが判明した。
さらに、降圧薬として用いられるβ(ベータ)遮断薬が癌細胞表面の受容体を遮断し、癌細胞からのIL-6や他の2つの蛋白の産生を有意に抑制することも示された。Yang氏は「β遮断薬はメラノーマの進行を遅らせことが示唆された」と述べている。研究結果は、医学誌「Brain, Behavior and Immunity(脳、行動、免疫)」2月号に掲載された。(HealthDay News 2月19日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=623858