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公平か子の人権か フィリピン人一家問題、親を免責せず(1/2ページ)

2009年3月10日3時0分

写真:会見に臨むカルデロン・のり子さん(右)と母サラさん=9日午後、東京・霞が関、細川卓撮影会見に臨むカルデロン・のり子さん(右)と母サラさん=9日午後、東京・霞が関、細川卓撮影

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 不法滞在で国外退去処分が確定したフィリピン人一家が改めて在留特別許可を求めていた問題で、東京入国管理局は9日、埼玉県蕨市のカルデロン・アランさん(36)の身柄を収容した。妻サラさん(38)と、中学1年生の長女のり子さん(13)は仮放免の期限を16日まで延長し、改めてのり子さんだけを残すかどうか検討するよう求めた。

 入管側は両親の滞在は認めない方針を再三伝えており、在留期限のこの日も一家が主張を変えないため、強制手続きをとった。13日までに両親が自発的に帰国する意思を示さなければ、16日にサラさんとのり子さんも収容して翌17日に全員を強制送還する。日本で生まれ育ち、学業の継続を希望するのり子さんだけが在留を希望すれば、在留特別許可を認める方針だ。

 父親の収容を受け、東京・霞が関の司法記者クラブで会見したのり子さんは「すごいショック。でも、家族3人で日本にいたいという気持ちは変わらない」と話した。代理人弁護士は「今はどうするか決められない」としつつ、両親が送還される場合は、のり子さんだけの在留を求めていくことを明らかにした。

     ◇

 不法入国した両親の法的責任は最後まで免除されず、親子3人で日本で暮らす道は断たれた。しかし、日本で勉強を続けたいという長女の思いだけはかなう道筋が残った。

 法務省は、「基本は全員退去」との姿勢を崩さず、長女の滞在だけを例外的に認める方針だ。両親のおじ、おば計3人が日本人と結婚するなど適法に滞在し、東京都北区や埼玉県川口市など近くに住んでいたことから、養育・保護は可能という判断があったようだ。

 強制退去の後は5年間再入国が禁止されるが、森法相は両親が自発的に帰国すれば、面会のための一時的な入国を認める方針も表明した。

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