2009年3月15日 19時39分
農林水産省で、給与を受け取りながら無許可で労働組合活動に専念する「ヤミ専従」の疑いのある職員が142人いたにもかかわらず、組合を通じて調査を2度繰り返し、結果的にゼロにしていたことが分かった。ヤミ専従は国家公務員法で禁じられており、省ぐるみで隠したとも受け取られることから、石破茂農相は再調査のやり直しを指示した。
同省によると、08年3月に電子メールによる内部告発があり、全国46の地方農政局・事務所などの組合幹部1395人を対象に4月1日付で勤務しているかどうか調べた。
その結果、全員がその日組合活動をしていたが、事前の許可を得ていたのが17人で、許可はないが国家公務員法で認められた範囲の活動をしていたのが1236人だった。残りの142人はいずれも該当せず、ヤミ専従の疑いがあったという。
ところが、同省は組合側に調査日を事前通告した上で4月9日、142人の再調査を実施。17農政事務所で48人のヤミ専従の疑いを再確認した。さらに、今度は組合側に調査日や調査内容を事前に伝え同23日に改めて調査したところ、48人全員がその日は自席で勤務していたり許可を得ており、ヤミ専従の職員はゼロになった。同省秘書課は「調査前に組合側に伝えたのは混乱を避けるため。結果として省全体でヤミ専従隠しをしようとしていたと誤解されても仕方がない」と話している。
社会保険庁職員のヤミ専従問題で厚生労働省は、背任容疑で職員と上司の計40人を刑事告発。東京地検は先月、「弁償を済ませている」などとして起訴猶予にした。【奥山智己】