2009年3月12日21時44分
【ローマ=南島信也】ローマ法王ベネディクト16世は12日、ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺を疑問視する発言をした司教らの破門を解除して批判を受けている問題で、「私が深く後悔している過ちは、(破門解除の際の)説明が不十分だったことだ」とする書簡を出し、事実上謝罪した。5月のイスラエル、パレスチナ自治区訪問を控え、一連の問題の収束を図る狙いがある。
法王は今年1月、教義上の理由で破門された超保守派の司教4人の破門を解いた。ところがその1人で英国人のリチャード・ウィリアムソン司教が昨年11月、スウェーデンのテレビインタビューに答え「ナチスのガス室で殺された者はいない」とホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を否定していたことが分かり、イスラエル政府やユダヤ人社会が激しく反発していた。
法王は書簡で「情報には大きな注意を払わなければならないことを学んだ」とし、事前の情報収集が不十分だったことを認めた。さらに「お互いの無理解を乗り越えて信頼関係を築くために、ユダヤの友人たちが助けてくれたことを感謝する」とも述べ、ユダヤ人社会に対する謝意を示した。
法王は5月8〜15日にイエス・キリストの死と復活の地とされるエルサレム、キリスト生誕の地とされる自治区ベツレヘムなどを訪れ、ミサを行う予定だ。