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「水戸黄門」ゲスト出演30回超…俳優・佐竹明夫さん

2月26日、剥離性大動脈破裂のため83歳で死去

 これほど周囲の人々に愛された役者さんはいないのではないか。分け隔てなく、多くの人たちに愛情を注ぎ、心配りを忘れなかった。ダジャレを絶やさず、ユーモアあふれる人柄。それだけに別れの悲しみは大きく、賛美歌が響く教会ですすり泣く声は最後まで止むことがなかった。

 舞台などで共演してきた俳優の長谷川哲夫は「ほんの2カ月前の年賀状には『今年も頑張ろうな』と書いてありました。それなのに…。ひどいよ、先輩!」と、ほおに涙を伝わせた。

 昨年、芝居で共演したとき、長谷川の楽屋に隣室の佐竹さんが「吸ってもいいかな、この部屋で」とタバコを手にやってきた。「同室の人が吸わないから、側で吸うと悪いんだよ」。80歳を過ぎた大役者だ。楽屋で何をしようが誰も文句は言わない。それでも細やかな心配りを決して忘れなかった。

 1926年、東京生まれ。本名は中山賢雄(なかやま・としお)。早大理工学部卒業後、三菱電機大船工場に勤務。電車の中でスカウトされて51年に東宝へ入社し、映画「死の断崖」でデビューを果たした。知性派の悪役をこなす一方、テレビ時代劇「水戸黄門」には30回以上もゲスト出演するなど、貴重な脇役としての地位を確立した。

 大変な愛妻家で、主治医には「もし若返ったらね、もう一度、妻と恋をしたいんですよ」と本気でのろけていたそうだ。楽屋で愛妻弁当を広げては、「これ食べてくれよ。うまいから」と共演者らに手作りのおかずをすすめていたという。

 仕事が決まって所属事務所が「台本を送ります」と連絡しても、必ず事務所まで受け取りに行く謙虚さ。行きつけの洋菓子店で買ったケーキを必ずぶらさげて訪れ、小一時間、ダジャレを交えたおしゃべりを楽しんでいた。多趣味で、自宅の庭で花を育てる園芸や、川釣りが大好きだった。特に釣りにはのめり込み、出発の1時間前からソワソワするさまは、まるで遠足を待ちわびる子供のようだったという。

 「じゃあ、またね」というかのような突然の死。葬儀であいさつした妻の祥子さんは「これから春になって大好きだった花が咲き、鮎釣りの季節になります。そのころにはどうか、思い出してやってください…」。多くの参列者がまた、ハンカチで涙をぬぐった。

ZAKZAK 2009/03/13

佐竹明夫

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