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平成20(2008)年12月19日[金]
■【主張】南京大虐殺記念館 問題写真撤去を第一歩に
中国・南京市の南京大虐殺記念館に展示されていた3枚の写真が撤去されていることが分かった。いずれも、南京事件とは無関係であることがはっきりと証明されている写真である。
例えば、「連行される慰安婦たち」とされる写真は、南京戦の前に発売された「アサヒグラフ」に「兵士に守られて帰宅する女性や子供」として掲載されていたものだ。また「日本軍の空爆を受けて泣き叫ぶ赤ん坊」とされる写真は、中国側が反日宣伝のために演出して撮影し、米誌「ライフ」に載せた写真である。
日本の外務省は同記念館が南京事件から70年にあたる昨年12月に再オープンして以降、この3枚を含む複数の写真について、史実に反するなどとする日本の学問状況を非公式に中国に伝えてきた。3枚の問題写真の撤去は、こうした外交努力の成果といえる。
外務省が歴史問題で中国にこのような働きかけを行ったことは極めて異例だ。当然とはいえ、その努力を評価したい。
だが、同記念館には、大虐殺の象徴的な事件として誤り伝えられている日本軍将校による“百人斬(ぎ)り”の記事など、事実関係の疑わしい展示が数多く残されている。“百人斬り”は戦意高揚のための作り話と判明している。「30万人虐殺」の掲示もそのままだ。
このほか、中国には北京・盧溝橋の抗日戦争記念館など多くの戦争博物館があり、南京と同様、日本の修学旅行生らの見学コースになっている。
外務省は引き続きこれらの疑わしい写真や記述にも目を配り、中国に是正を求めてほしい。
今回、中国が3枚の写真を撤去したのは、明らかな誤りだけを認めたにすぎず、歴史問題で軟化したとみるのは早計である。
「連行される慰安婦たち」とされる写真は、日本でも“大虐殺”派の学者の著書に使われたことがある。大阪市の「ピースおおさか」など日本の戦争博物館でも、南京事件の“残虐写真”などに疑問点が指摘され、誤用がはっきりしたものは撤去された。
写真も歴史学習の重要な教材の一つである。時代の雰囲気や世相を視覚的に分かりやすく伝える効果がある。だが、使い方を誤ると、間違ったイメージを刷り込むことになる。歴史写真や戦争展示を子供の教材として使う場合は慎重な扱いが求められる。
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