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【岐阜】韓国の大学から名誉博士号 大垣精工社長・上田さん2009年3月14日
大垣市の大垣精工社長で、日本金型工業会会長を務める上田勝弘さん(70)が、韓国国立ソウル産業大から名誉工学博士号を授与された。上田さんは長年、日韓の産学・技術交流に力を尽くしており、その功績が評価された。世界的な不況の中、金型業界を取り巻く状況も厳しいが、上田さんは「日本はモノづくりで発展してきた。将来のためにも、国際的な視点で金型の技術を高めなければならない」と、強い意欲を見せている。 大垣精工は、上田さんが1968年に設立。各種電機・電子機器用精密金型や超精密金型機械部品などを手がけている。 上田さんは22年前、韓国に設立した合弁会社の関係者らの要請で、ソウル産業大金型設計科の講師に就任。日本の金型技術を教える一方、自社に研修の韓国人学生を受け入れてきた。現在は名誉教授となり、日韓経済協会副会長、日韓産業技術協力財団副理事長としても活躍している。 これまでに日本で研修した学生は、他の企業も含めて計270人。「学生には、私が作ったキムチやみそ汁を食べてもらっている。みんな弟子のようなもの」と笑う。教え子たちは韓国の製造業で活躍しており、金型技術の向上に大きな役割を果たしている。 名誉博士号の授与式は2月末、ソウル産業大の卒業式に合わせて行われ、学生が見守る中、学長らの祝福を受けた。 今回の栄誉について、上田さんは「韓国と交流しているのは大垣精工だけではない。全国の金型関連企業を代表していただいたと思っている」と語る。韓国の学生たちには金型技術だけでなく、日本のモノづくりの精神やチームワークの重要性を教えてきたという。 上田さんは中学校時代、仲が良かった在日朝鮮人の友人が帰国するのを見送った思い出がある。韓国の文化に親しみを持っていたことも、交流に情熱を注ぐきっかけになったようだ。 上田さんは「モノづくりの基本は金型にある。厳しい時代に対応するためにも、日本はあらためてモノづくりにかかわる教育に力を入れるべきだ」と話している。 (中山道雄)
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