
ソマリア沖に派遣される海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」(左)と「さざなみ」=14日午前9時19分、広島・呉基地で共同通信社ヘリから
ソマリア沖の海賊対策で、自衛隊法に基づく海上警備行動が発令されたのを受け、海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」(4、650トン)と「さみだれ」(4、550トン)が14日午後、広島県の呉基地を出港した。
これに先立ち同基地で行われた式典で、麻生太郎首相が派遣部隊に対し「困難を伴う新たな任務だが、困難を乗り越えて海上交通の安全が確保されると確信している」と訓示した。
海上警備行動による自衛隊の海外派遣は初めて。2週間余りでソマリア沖に到着し、4月上旬から日本関連船舶の警護任務を開始する。
政府は新法「海賊対処法案」の早期成立を目指し、成立後は活動根拠を海上警備行動から新法に切り替える方針。
2隻の護衛艦には計約400人が乗り、それぞれ哨戒ヘリコプター2機と高速ボート2隻を搭載。海賊の身柄拘束に備え司法警察権を持つ海上保安官を4人ずつ配置したほか、海賊船への射撃などに当たるため海自の特殊部隊「特別警備隊」の隊員も乗り組んでいる。
防衛省の実施要領などによると、海賊が多発するアデン湾の東西に護衛艦と民間船舶の合流地点を設け、船団の前後を護衛艦が挟み、哨戒ヘリで警戒しながら約2日間で通過する。
海上警備行動での警護対象は日本船籍、日本人、日本の荷物を運ぶ外国船などの日本関連の船舶に限られ、防衛省は国土交通省を通じて警護希望を取りまとめる。