【社会】愛知県立循環器センター統合へ 来春めどに一宮市民病院と2009年3月14日 朝刊 医師不足などで赤字が続く愛知県立循環器呼吸器病センター(同県一宮市)について、県と一宮市は13日、一宮市民病院との統合に向けた協議を始めることで合意した。2010年春をめどに同センターを廃止した上で、心臓手術で実績のある循環器部門を市民病院に移し、質の高い循環器医療と救急医療の充実を目指す。 実現すれば、県立病院と市民病院の統合は愛知県で初めて。市民病院は心筋梗塞(こうそく)から脳卒中まで緊急性の高い救急医療に対応できる西尾張地域の基幹病院となる。 センターでは近年、勤務医の開業や大学病院への医師引き揚げが相次ぎ、全15診療科のうち消化器内科や呼吸器外科など8診療科で13人が欠員状態。大手術時は市民病院などから医師の応援を受けるなど、単独では医療の質の確保に支障が出ている。 07年度の年間患者数は04年度の6割程度の約9万2000人にとどまり、赤字額は県立5病院全体の半分を占める11億5000万円に上った。 一方の一宮市民病院は三次救急医療機関の指定を目指しているが、循環器外科がなく、心筋梗塞など重度の循環器疾患に対応できる機能の強化が課題。公立病院改革に関する県の有識者会議も、統合を視野に入れた連携強化を提言していた。 これらを受け、県と市は1月に協議会を設置。13日の2回目会合で市民病院側が具体的な受け入れ案を提示した。改築中の市民病院本館が本格稼働する10年春を目標に統合を目指す。 統合後の市民病院には1病棟を「循環器センター」とし、80床を整備。循環器部門の医師や看護師、検査技師ら医療チーム全体で移行する。24時間、心臓手術ができる体制を目指す。センターが担当している結核病床20床と、新型インフルエンザなどに対応する感染症病床6床も本館に設置する。 職員約200人の処遇は今後本人の希望を聞きながら決める。センターの入院患者は全員、市民病院が引き受ける予定。 【愛知県立循環器呼吸器病センター】 旧県立尾張病院。1985年に心臓血管外科を開設、心臓・血管手術やカテーテル治療では全国有数の実績がある。286床あるが、医師不足で昨年4月から1棟(50床)が休床している。 【一宮市民病院】 17診療科530床あり、尾張西部医療圏の救急搬送の中核病院。本館が完成すると集中治療室(ICU)が30床加わる。
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