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50歳前後にも多い妊娠中絶 「産み終え世代」の油断 (2/2ページ)
このニュースのトピックス:病気・医療
実際の調査を担当した社団法人「日本家族計画協会」の北村邦夫常務理事は、10代の若者を中心に中絶が減っている要因を「女性の側から避妊に取り組めるピルの使用が、若者に広まってきている」と分析。さらに、性行為後72時間以内の服用で効果がある緊急避妊ピルの認知度が高まったこともあるという。
一方、35〜44歳のいわゆる“アラフォー世代”では19年度の対前年度減少率が3パーセント台にとどまり、中絶を選択する割合は20歳未満に次いで高い水準となっている。
実態調査で「最初の中絶を決めた理由」を聞いたところ、アラフォー世代以上では「相手と結婚していないので産めない」が全体の半数を占めた。次いで「経済的な余裕がない」「相手との将来を描けない」。このうちアラフォー世代になって中絶した人は、避妊の知識が十分あり、結婚して子供がいる家庭を築いている人が多いことを考えると「こうした回答は、性に対する無頓着ぶりを物語る」と北村理事は指摘する。
さらに「女性の側に『(年齢的に)もう妊娠しないだろうから、特に避妊しなくても大丈夫』といった誤った考えがあり、望まない妊娠につながっている」とも。年齢が上がるとともに性生活が減り、更年期で生理が不規則になると、避妊対策をしっかりしなくなる傾向があるようだ。
北村理事は「『一度だけ』と避妊もせずに相手を求め、望まぬ妊娠のあげく中絶を余儀なくされたり、中にはエイズウイルス(HIV)に感染したりする現実に目を向けてほしい。特に中高年の女性で少しでも妊娠の可能性がある人は、中絶ということを甘く考えず、避妊対策に徹底して取り組んで」と呼びかけている。