美那雄の作品の数々ができあがり、個展開催まで1週間と迫る。
そんなとき、由起子は小百合から美那雄の母が危篤だと知らされる。由起子は急いで山荘に向かうが、とりつかれたように最後の作品と取り組む美那雄を見て、何も言わずに帰って来てしてしまう。
由起子から報告を受けた小百合はあ然。猛烈に由起子を責めるが、由起子は自分の信念を曲げようとしなかった。小百合が美那雄に電話しようとするのも止める由起子。しまいに二人は取っ組み合いの喧嘩を始めてしまう。
その夜、和子が「黄色い薔薇」で圭子に由起子と小百合の一件を話していると稲村がやって来る。仕事でメキシコに行っていた稲村は何気なく、「変わったことはなかったか?」と和子に聞く。すると和子は稲村の子を妊娠し、すでに3ヵ月に入ったと打ち明ける。さすがに圭子も驚くが、さらに和子は稲村からの求婚をきっぱりと拒絶するのだった。
数日後、由起子は再び丹沢に美那雄を訪ねる。最後の一枚が完成したのを見届け、母親が亡くなったことを美那雄に告げる由起子。彼女は美那雄渾身の1作を前に、個展の成功を確信するが...。
ついに美那雄の個展が開かれる。画廊の命運をかけ、由起子が心血を注いだ結果、大盛況の初日となる。小百合も祝福に駆けつけるが、美那雄は由起子に連れられ、絵画界の重鎮たちへの挨拶に忙しかった。まるで由起子が美那雄をコントロールしているかのようで面白くない小百合。と、一枚の絵に目が止まる。それは由起子の自画像だった。我慢ならない小百合はつい、その絵をカッターでめちゃくちゃに切り裂き、画廊から飛び出してしまう。
その夜、小百合は「黄色い薔薇」に現れる。由起子は小百合を責めはしなかったが、二人の間に緊迫した空気が漂うのだった。
個展は成功に終わり、新聞や専門誌はこぞって美那雄に好意的な記事を書く。画廊の絵も多くが売れ、満足する由起子だが、そこに美那雄が顔を上気させ飛び込んでくる。どの記事も中途半端にしか自分の絵を褒めていない、と不機嫌な美那雄。由起子はそんな彼をなだめすかすが、その場に居合わせた楠造は渋い顔をする。
楠造には由起子が美那雄に恋しているとしか思えなかった。息子の子を産んだ女性が別の男性とすぐに恋に落ちることなど我慢できない、と由起子に告げる楠造だが...。