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【社会】

物価高で“窮食” 都内13区相次ぎ値上げ

2009年3月14日 夕刊

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 景気が一段と冷え込む中、子どもたちの給食費が東京・特別区の多くで値上がりし、じわじわと家計に追い打ちをかけ始めた。中国製ギョーザ中毒事件などを契機に、国産食材が需要の増加に伴って高騰し、給食費に跳ね返っているという。本年度末現在で八区が給食費を値上げし、今年四月には新たに五区が値上げに踏み切る。保護者の負担を減らそうと、コスト上昇分を公費でカバーする自治体も目立ってきた。

 新たに値上げする五区のうち江東など四区では、そのまま保護者の負担となる。大田や北、葛飾の三区では急激な物価上昇を公費でかわし二〇〇八年度途中での値上げを回避したが、〇九年度は給食費に上乗せする。

 北区では〇八年度は一食当たり十七円を学校側に補助していたが、〇九年度は十六−二十一円値上げし、二百三十七−三百十五円に。大田区は十−二十円値上げし、二百二十−三百円になる。

 台東区と目黒区では食材費上昇分の一部を公費でカバーし、値上げ幅を抑えた。

 目黒区は約千八百万円の公費を投入。特別区で唯一、二年連続での値上げとなる。「この不況下で値上げしたくはないが、補助しても足りない」と担当者。〇八年度は一食当たり牛乳代の上昇分三円を上乗せ。さらに〇九年度には九−十一円値上げし、二百三十七−三百二十円にする。補助金で賄うのは一食七・四−九・七円。

 担当者は「国産品全般の価格が上がっている」と説明。食材には安全な国産を使うため円高メリットは期待できない。地元の父親(43)は「安全な食材を提供してもらえるなら多少の値上げはやむを得ない」。半面、別の父親(58)は「この程度の値上げで安心できる食材を確保できるか」と話す。

 物価上昇分をすべて公費で吸収し給食費を据え置くのは七区。生活保護世帯が多い足立区では、〇八年度より補助金を一食当たり一円アップ。「経済状況が厳しくなる中で保護者に負担をかけられない」という。

 

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