男子ゴルフの石川遼(17)=パナソニック=が8日、千葉県内のゴルフ場でWBC日本代表のイチロー外野手(35)=マリナーズ=へのあこがれを語った。前日7日に日本が韓国に大勝した試合をテレビ観戦し「格好良かった。特に試合後の無表情がよかった!!」と興奮。米ツアー挑戦で今週中に再渡米する予定だが、その前に米球界のスター、イチローの虜になった。これであのハニカミも封印?!
雨の勢いが強くなっても、その口調は熱を帯びる。「ハウス食品 石川遼ジュニアゴルフクリニック」。全国から集まった小学生ゴルファー48人に午前午後の2回に分け、石川はドライバー、アプローチの技術を惜しげもなく披露した。
「素振りはいいね。あの辺を狙って!!」。生徒たちへのかけ声に気合がみなぎる。実は前日7日にイチローが3安打放ったことが刺激となった。
「WBC、見ました。イチローさんは格好良かった。あの(2打席目の)バント(ヒット)もよかった」。サッカー好きで知られるが、珍しく野球の話題を口にした。
「なんで(5日の)中国戦では(5打数無安打と)打てなかったのでしょう?」と記者に逆質問したり、イチローが早出特打ちするニュースを見たことを挙げ「事実は分かりませんが、打てない焦りじゃなく、日本代表を引っ張っていくという姿勢だったのかな、と思う」と熱弁。関係者が会見を打ち切らなければ、イチローへの思いは何十分間も続く勢いだった。
【まねすれば魅力半減】
これまで、石川が憧れの選手の物まねをする姿は度々見られた。ロングパットを沈めた後のタイガー・ウッズ(33)=米国=のガッツポーズや、昨季は「スパイダーマン」の異名を持つカミロ・ビジェガス(27)=コロンビア=の地を這うような芝の読み方も取り入れた。
次は、孤高の天才といわれるイチローの番か。「特に試合後の無表情がよかった!!」という言葉はとくに気掛かり。劇的なチップインバーディーを決めても、「当然」とばかりに笑わない、最終日にウイニングパットを沈めても、無表情でボールをギャラリースタンドに投げ入れる…。そんな風にイチロー化されたら、『ハニカミ王子』の魅力は半減だ。
もちろん、イチローの柔らかい身のこなし、体の使い方をまねするのは同じアスリートとして当然の欲求だが、あの『無表情』に憧れるとは…。19日開幕の「トランジションズ選手権」から始まる米ツアー挑戦第2弾に向け、今週中に再渡米する予定の石川。『天才は天才を知る』-。そんな言葉もあるだけに、ファンにとっても、その動向は気がかりだ。