ニュース: 政治 RSS feed
【紙面批評】学習院大学名誉教授・藤竹暁 (2/2ページ)
このニュースのトピックス:民主・小沢一郎代表秘書逮捕
小沢氏は現実の政治がカネ次第だと、あからさまに語っている。しかしそれは、われわれが求めている議会制民主主義では断じてないことに、小沢氏は気づかなかったのか。5日の産経によると、民主党の石井一(はじめ)副代表も4日夜、都内で開かれた民主党衆院議員の資金集めパーティーで、「1票くらい、聖徳太子1枚くらい出せば十分取れる」と脱線発言をしている。1万円の絵柄はすでに昭和59年に、聖徳太子から福沢諭吉に代わっているものの、この発言は政治家の古い体質を見せつけたものだ。
これでは民主党の「国民の生活が第一だ」というキャッチフレーズも、むなしく聞こえてくる。6日の産経社会面は、手渡しで定額給付金の支給が行われた「小さな村でのお祭り騒ぎ」を、「熱気・感激・驚き」と伝えていた。定額給付金を筋が通らない金だとは思いつつも、いざ支給されると、思わず顔がほころぶのが庶民感情である。麻生太郎首相なら1万2000円を受け取るのは、「人間の矜持(きょうじ)の問題」かもしれないが、われわれにとっては、「福沢諭吉」が何枚かやってくるのは、こころ和むことである。こうした庶民感情と、「聖徳太子」で1票を取ろうと考えたり、巨額の政治献金がなければ政治活動ができないという政治家の金銭感覚との間には、大きなズレがある。政治家が主張する議会制民主主義はどこか狂っている。(東京本社発行最終版による)