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中小企業と金融

2009年3月14日

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 今回の不況に限らない。なにかあるたびに「中小企業はどうなる」と「世論」と「政治」は色めき立つ。企業の99%は中小企業なので、数の上では困っている中小企業は無数にある。しかし多くの中小企業は世間が思っているよりも健全だ。

 例えば国による20兆円の緊急保証制度の融資は思ったより伸びていない。昨年10月からの6兆円の保証枠に対して、1月末までに5兆4千億円の利用があったが、続いて2月末までの総計をみると約7兆1千億円である。しかも借り入れの中身は、返済時の延長など支払い条件の緩和による借り換えなどが多いものと見られている。

 3月の中・下旬に年度末の駆け込み融資が急増するのではないかという見方もあるが、そんなこともないだろう。3月末の資金ショートは1月、2月には予測できる。つまり必要でかつ可能な資金調達なら、それは2月中に手当ては終わっていよう。

 思ったよりも借り入れがないのは、賃金が増えないことによる「実感なき景気回復」が5年ほど続き、中小企業も当面はなんとかしのげるストックをした、ということだろう。このまま推移すると、この中小企業向けの「融資・保証枠」は、大きすぎたということになりかねない。もちろんそれでよい。セーフティーネットは利用されないほうがよいのだ。

 97年の山一証券などの破綻(はたん)からの金融危機、そして02年後半までの困難な日々に経営者はみな懲りている。つまりここ4、5年は備えの日々だったのだ。現場で聞き取りをしているとゴールデンウイーク明けまでは、仕事がなくても何とかがんばれるという声が多い。在庫調整は4月下旬で終わるだろうか。(紙つぶて)

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