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写真+あらすじ

(写真1:シャッターの前で座っているテツとミカ)

ろくに大学にも行かず、退屈で空虚な日常を送っていたテツは、渋谷の片隅で、無垢な瞳を持つ少女、ミカに出会う。テツは、心の空虚感を埋めるためだけに、遊び半分でミカをデートに誘う。


(写真2:横断歩道を渡っているテツとミカ)

ただ、寂しいだけだった。テツは女なら誰でもいいと思っていたし、どうせ恋愛なんてゲームみたいなものだと思っていた。
ミカはテツのそんな気持ちを知らなかった。ミカはまだ17歳で、今、うまれて初めて、恋をしていた。テツのことを、強く、強く、想っていた。
ミカの純粋さは、テツに少しばかりの罪悪感を感じさせた。


写真:散歩

大学近くの裏路地を、テツはミカを連れて歩き回った。美味いラーメン屋、おしゃれな雑貨屋さん、コーヒー1杯でいくらでも粘れるカフェ…。ミカにはすべてが新鮮だった。ただ、ピンク色のネオンが光る怪しげな店の看板に「ピーチ☆パイ」と書かれていたとき、ミカが見せた複雑そうな表情は、テツの心に妙なしこりを残した。



テツがどこかに行くとき、ミカはいつも後ろからトコトコ付いてくる。テツは少しずつ、ミカに対して本気になっていった。



写真3:テツが桃を守っているシーン

何かが変わったのは、3月の渋谷だった。デート中、ミカが、青果業を営む不良にからまれたのだ。
ケンカなんて一度もしたことがなかったテツは、それでも自然と、ミカの前に立ちふさがっていた。
ぼろぼろになりながらも、青果業を営む不良からミカを守り切ったテツは、そのとき初めて、自分の本当の気持ちに気づいたのだった。



写真:キス写真

恋は、静かに、動き始めた。テツは、初めて、心の底からミカにキスをした。
もう、誰の唇でもいいわけではなかった。テツは他の誰でもなく、世界でミカだけを求めていた。もう、テツは、寂しいからキスをすることはなくなった。ただ、ただ、ミカのことが愛おしいから、キスをしていた。



写真:桃を馬鹿にされて怒る

初めは、遊びで付き合っていたはずだった。だが、今やテツは本気だった。
「おまえの彼女、尻でかくねえ?」
ひとこと、そう言われたとき、テツは我を忘れて掴み掛かっていた。ミカの尻が大きいことはうすうす感づいていたし、ミカ本人も気にしていると分かっていたからこそ、その言葉が許せなかった。
テツのミカへの想いは、確実に強くなっていた。



写真:ベッドシーン

テツとミカは、初めてひとつのベッドで夜を過ごした。シーツの海に、果汁がしたたり落ちる。テツは、ミカをそっと抱きしめて、「君は、桃みたいだ」とつぶやいた。愛だけが二人を繋いでいた。
幸せな結末が訪れたかのように思えたが、実はミカには、テツに打ち明けていない秘密があった…


写真:テツと友人

ミカに出会ってから、テツは変わった。親友のケンジはそう思っていた。テツは生き生きと未来を語るようになった。ミカと二人で、どんな人生を歩んでいきたいのか。どんな家に住むか、子供は何人ほしいか、子供にどんな名前を付けたいか…。テツはそんなことを嬉しそうに語った。
ただ、テツが「娘の名前は桃子にしたい」と言ったとき、ケンジは「親友でも聞いちゃいけないことがある」と思い、さりげなく話題をずらしたのだった。



写真:公園のベンチに腰掛けるシーン

ミカは、自分が「賞味期限」という不治の病に冒されていることを話す。それは、時間が経つごとに身体が腐り、出荷当時の新鮮で豊かな風味をお客様に味わっていただくことができなくなるという、恐ろしい病気だった。現代の医学ではどうすることもできない大病を目の前にして、テツは自分の無力さを呪う。


写真:変色した桃、もしくはサイズが小さくなってるとか、しわしわになってるとか

病気は徐々にミカの身体を蝕んでいった。会うたびに、ミカの姿は変わっていった。言葉数は減り、あんなにも魅力的だった笑顔にも、不吉な陰が見え隠れするようになった。
テツは大学を辞め、一日中ミカの側にいることを選んだ。だが、テツの看病もむなしく、ミカの病気はだんだん悪化していった。



ミカは、自分の運命に耐えられなかった。病がピークに達した時、ミカは病院を抜け出した。テツはミカが行方不明になったと聞き、街中を探しまわる。そしてついに、二人が何度も何度もデートを重ねた公園で、ミカの姿を見つけた。だが、すでにミカは現実の辛さに耐えかねて、入水自殺を図った後だった…



写真:リヤカーに乗せてシモダがそれを引いているシーン(合成前)

テツは、もう何も喋らなくなったミカをリヤカーに乗せて、ふたりがよく歩いた道のりを、ゆっくり辿ってゆく。もう、何も言葉を交わすことはできない。だが、見慣れた景色は雄弁に、ふたりの思い出を次々と語りかける……


→4ページめを開くとテツが桃を投げている
・他の男と桃が寝ている写真
・未使用の普通の写真
など
- | 2015.02.24 Tuesday | 記事URL | comments(0) | | このエントリーを含むはてなブックマーク
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