村崎 で、その酔っ払い中川の朦朧会見&辞任なんだけど(★2)、テレビ見ていて最初は脳梗塞か何かで危ないんじゃないのと思ったけど、言動がどう見てもそのへんの取っ払いなんで、しまいには笑っちゃったよ。 唐沢 何だかコントに出てくる酔っ払いそのまんま見ているみたいだったよね(笑)。聞いた話では、中川って今回だけじゃなくて、始終あんな感じで酔っ払ったまま国会に出たりしているから、政治部の記者たちは「ああ、またやってるよ」って感じで大した失態だと思ってなかったんだって。それを社会部方面の記者が「さすがにあれはないんじゃないか」って問題視したから、今回の騒ぎになってしまったってことらしい。 村崎 「“ごっくん”していなから酔っていない」っていう理屈も全然わけわかんなかったよな。辞任前に家の前で報道陣に囲まれてるとこで女房に塀の向こうから「ガンバレ〜、日本一〜!」とか言われてるんだもん。あれ見てて、旦那をかばう出来た女房だよなあって感心したと同時に、「もしかして女房もアル中かよ!?」とさえ思ったぜ(笑)。 唐沢 いや、しかし中川って実は世襲の政治家の中ではいちばん有能なんじゃないかと思わせるだけの発言や、政策を実行していた男なんだよ。アメリカや中国に媚びないことでも有名だし、農政畑が長いが農家べったりじゃないし、北朝鮮に対しても基本タカ派だし。こういう、“流れに乗らない男”ってのは、凄まじいストレスがたまる。親父もストレスに弱い体質で、結局自殺しちゃったけど、血筋だね。これは有能な人間に特有の神経の細さなのかもしれんな。 村崎 確か親父の中川一郎も国会の敷地内で立ち小便していたのを、フォーカスされたことがあったよな。醜態さらすのも血筋なのかねえ(笑)。 唐沢 だからプレッシャーに弱くて気が小さい分、アルコールなどに頼らなきゃいけないっていうのが、あの一家には遺伝子レベルに組み込まれてしまっているんじゃないかって気がする。 村崎 どうせなら親父を超えるという意味で、いつか国会の敷地内で脱糞して欲しいね(笑)。でも、政治家って酒が飲めないとダメだっていうじゃん。酒とゴルフがいい政治家になるのには必須条件で、それを忠実に守りすぎたんじゃないかってところもあるのかもよ。 唐沢 そもそも、酒が飲めない人間ならマジメでいい政治家になれるのかといったら、ブッシュみたいな行き過ぎたキリスト教原理主義者になってしまうというケースもあるんでね。だから酒のせいというより、本人の性格の弱さのほうが根本的な問題だと思う。オレみたいな飲ん兵衛に言わせれば、あの程度の酒でものがしゃべれなくなってしまうほどの虚弱体質を自覚していなかったことを反省してほしいよね。ていうか、酒に罪を着せてしまったことに対して、“酒に謝れ”と(笑)。 村崎 いや、もっと突っ込んで考えれば、あれはジャッキー・チェンの『ドランクモンキー/酔拳』を思い出してもらえればわかると思うんだが、中川センセーにとっては酒を飲むことによって政治家としてパワーアップできるっていうか、あの映画のジャッキーが酔えば酔うほどに強くなるのと一緒で、中川センセーにも、“酒に酔えば酔うほどに世界経済が理解できる”という秘術があったんじゃないかと思うんだよ! 唐沢 『ドランクモンキー』ならぬ『ドランク経済』(笑)。 村崎 そういう事情も知らずに、“重要な会見に酒飲んで現れるとは非常識もはなはだしい”なんてクレームつけるのは、気が弱くて酒に頼らざるを得ない人間のメンタリティを理解できない、浅はかな人間の言い草にすぎんわけだ。 唐沢 沖縄開発庁政務次官になったときの立川談志だって、二日酔いのままで記者会見に出ていたりしているんでね。もっとも、これも辞任になっているけど(笑)。 村崎 志ん生なんて、落語やっている最中に、高座の上で寝ちゃったりしたんでしょう? 中川センセーも安易に責任とって辞任するより、名人芸として国会から賞賛されるくらいの泥酔政治に徹してくれたほうが、逆に面白かったんだけど(笑)。おかげで、ただでさえ低い麻生内閣の支持率がとうとう10パーセントを切りそうな勢いで、小泉元首相も、麻生の“郵政民営化には反対だった”という発言に対して、「笑っちゃうくらい、あきれている」とか言っているんだよ(★3)。 唐沢 相変わらず、こういうスタンドプレイだけはうまいよね、小泉という人は。いまだにポスト麻生は誰がいいかと訊かれたら「小泉」と答える人がかなり多いらしい。 村崎 アタマおかしいんじゃねえか? そんなにアメリカに金をくれてやる政府がありがたいのかね? 唐沢 そもそも今回の不況の原因をつくった諸悪の根源ともいえるのにね。でも、いまのオバマ政権に対するアメリカ人の期待度に匹敵するものって、日本では8年前に小泉政権が生まれたときぐらいしか見当たらないんだよね。結果的に悪影響を残したとはいえ、小泉が首相になったときは変革の予兆だけは確実にあった。オバマの“Change”もそうだけど、“変革”という言葉が、国民を動かすマジックを持つようになったんだ。昔の日本人ってもっと保守的で、生活が急に変わるよりは、いまの状態を保っていてくれればそれでいいっていう人のほうが多かったんだけど。 村崎 それは、徳川幕府みたいに、揺るぎない体制が民衆を守っていた時代の話でしょ。今の状況って幕末の混乱期と似たようなものだもの。 唐沢 そういう時代だと、坂本龍馬みたいな人物のほうが重宝される。変化を受け入れられない人は逆に切り捨てられていく。 村崎 麻生もそうだけど、竹中平蔵も相変わらずヌケヌケと自分の責任じゃないみたいなことを言っているし、「かんぽの宿」をオリックスに売却するように支持したのも竹中だって話があるじゃない。いまの内閣で変革を求めて頑張っているのって、鳩山邦夫ぐらいだよ(★4)。いやあ、福田政権下で十三人の死刑囚を地獄に送り込んだのに続いて、いまもイイ仕事してるよね、邦夫くんは(笑)。 唐沢 東京中央郵便局解体にまったかけたのと並んで、実に仕事をする男だな、兄と違って(笑)。かんぽの宿も、競売にかけていたとはいえ、結局、オリックス一社に売る気だった“できレース”だってことまで、見抜いていたからね。 村崎 オリックスってホント〜に胡散臭いしさ、ナベツネが嫌うわけも何となくわかるよ。「かんぽの家」もどうせ売らなきゃいけないとしても、あんなクソ企業に安売りするらいなら、いっそ風俗店にしちゃって、温泉つきのソープランド、名づけて「ちんぽの宿」としてリニューアルオープンしたほうがずっと大儲けできそうな気がするんだが、どうか? 唐沢 いや、「どうか」と言われても(笑)。泊りがけでサービス受けられる風俗店なんて、確かに夢のようだな。 村崎 「ちんぽの宿」はイイよ〜! 湯治と性欲解消、一挙に問題解決できるしなあ。とにかく、それぐらい思い切ったことやってくれないと、麻生内閣もひたすら醜態さらすだけなんだって。わざわざホワイトハウスくんだりまで行って、オバマに会ってもらえたのはいいものの、わずか一時間ちょっとしか話をさせてもらえなくて、昼飯も一緒にさせてもらえず、ぐずぐず居座っていたら「あれ? まだ帰んないの?」と言われたとか、ここまで屈辱的な日米首脳会談、初めて見たぜ(★5)。おまけに麻生のあの小汚い英語トーク、英語に不慣れなオレでも、あんな発音ねえだろうって思ったぞ。大丈夫かよ!? 唐沢 英語に堪能な宮沢喜一のときもそうだし、さらに昔には第二次大戦直前の松岡洋右の外交もそうだけど、英語に堪能な首相や外相がダイレクトに外国の要人と話すのは、危ねえんだ。実際に実務レベルの仕事を行う官僚たちの頭を通り越して、その場のノリでとんでもないことを決定しちゃったりするからね。通訳でも何でも、ワンクッション置いて、その間に立った事務官が“大臣、これに関してはこれで”と専門的助言を行える余裕もできる。そこをスルーされちゃうと、もう、何をどうしようと後の祭りってことがあるからね。英語がたとえペラペラであっても、何食わぬ顔で通訳使うような、そんなタヌキが大臣になるべきなんだ。 村崎 会見終わった直後に、「大統領、ちょっと」ってオバマに耳打ちしていたけど、いったい何を相談していたことやら。「なあ頼むよ親分、CIA使ってウチの国の目障りな小沢ってヤツを消しちゃってくんねーかな?」とか(笑)。 唐沢 まあ、いまの時期、日本の首相が海外に出向いて丁重に扱われることなんて、あるわけないしね。 村崎 しかも、言われていたのは、相変わらず「今までどおり、ちゃんと金出せよ。米国債もしこたま買えよ」って、それだけだろ。ブッシュ=小泉時代と、言われることは全然変わってないじゃん。 唐沢 今の米国債なんて、ちり紙交換に出してもいい値では買ってくれないぜ。 村崎 サブプライムローンの詳細とか知れば知るほど、アメリカ本位の経済がいかにデタラメでインチキがまかり通っていたかがよくわかるよな〜。 唐沢 さっきも言ったとおり、貨幣経済そのものが幻想みたいなもんなんだしね。どこぞの国が米国債買ったところで、アメリカの不景気が解消に向かうことはないと思うよ。 |