北京原人の化石が発掘された中国周口店の地層が、これまで考えられていた年代より20万〜30万年古く、約78万年前にまでさかのぼることが、中国・南京師範大学や米パーデュー大学の研究でわかった。
アジアの原人が従来の見解より早い段階で北方に拡散していたことを示す成果で、12日付の英科学誌ネイチャーに掲載された。
研究チームは、80年前に北京原人の頭骨が初めて発見された周口店の「第一地点」と呼ばれる場所から、地層中の鉱物(石英)や石英質の石器を採取。これらが大気にさらされていたときに、宇宙線の照射で生じた放射性元素の含有量を調べ、地中に埋もれた年代を割り出した。
この結果を地層に残る過去の地磁気変化のデータなどと比較して年代値を補正したところ、北京原人の遺跡が78万年前までさかのぼれると結論づけた。
人類は、猿人、原人を経て現代人(ホモ・サピエンス)に進化した。200万年前にアフリカで誕生した原人は、100万年前ごろにインドネシアのジャワに到達(ジャワ原人)、さらに北に進出したものが北京原人とされる。今回見直された遺跡の年代はジャワ原人が栄えていた時代に近い。
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