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教授ら救急医4人全員が辞職 鳥取大・救命救急センター(1/2ページ)

2009年3月14日2時0分

写真:救命救急センターの処置室。診療の合間を縫って研修医や学生を指導する八木啓一教授(右)=鳥取県米子市、重政写す救命救急センターの処置室。診療の合間を縫って研修医や学生を指導する八木啓一教授(右)=鳥取県米子市、重政写す

写真:3月末で教授以下の救急医全員が辞職する鳥取大医学部付属病院の救命救急センター=鳥取県米子市、重政写す3月末で教授以下の救急医全員が辞職する鳥取大医学部付属病院の救命救急センター=鳥取県米子市、重政写す

 鳥取大医学部付属病院(鳥取県米子市)の救命救急センターに勤務する救急医4人全員が3月末で辞職する。4人には医学部の教授と准教授も含まれ、教授らは「地方の救急医療の現場は体力的にも精神的にも限界」と訴えている。同センターは同県西部で、重篤患者に対応できる唯一の救急施設。後任の救急医はまだ2人しかめどがたっておらず、4月以降のセンターの機能に不安の声が上がる異例の事態となっている。

 辞職するのは、同センター長で鳥取大医学部救急災害科の八木啓一教授(54)と中田康城准教授、若手医師2人の計4人。若手医師は昨年夏に年度末での退職を申し出て、教授と准教授は昨年末から今年1月にかけて辞職の意思を大学に伝えた。

 同センターは04年10月に開設。06年前半には専任の救急医7人と付属病院の他科からの応援医師2人の9人態勢だったが、退職が相次いで昨年4月から専任救急医師が4人、応援医師が3人の7人態勢に減り、年間900人の患者を受け入れてきた。

 センターによると、当初1人月5〜6回だった当直勤務は月8〜10回まで増え、1人当たりの夜間・休日の緊急呼び出しも急増。若手2人の辞職理由は「体がもたない」だった。

 同センターが後任を探したが、希望者はなく、付属病院の他科も人手不足で応援を増やすのは難しかった。教授と准教授は「センターが壊れるぐらいのショックがないと現場の窮状が伝わらない」と辞職を決めたという。

 救急医不足の背景には、04年度に始まった「新医師研修制度」もある。研修医が自由に研修先を選べるようになったことで都市部の病院に移るケースが相次ぎ、年間四十数人いた同大医学部での研修医は06年には半分以下に減少。研修後、救急災害科の希望者は5年間で今回辞職する若手医師2人だけだった。さらにセンターは老朽化した処置室の整備を大学側に要求したが実現していない。

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