二〇一三年から全面実施される高校の新学習指導要領に対応して、県教委は今年四月から、県独自の道徳教材を活用した授業を県内全公立高で開始することを決めた。十一日の県教育委員会で教育局が報告した。三学年を通しての道徳授業は全国初。ロングホームルームなどを使い、年五回以上(〇九年度は年三回以上)の授業を実施する予定だ。
高校では道徳に特化した授業はなく、現行指導要領は「人間としての在り方生き方に関する教育を教育活動全体を通じて行う」としている。だが、統一的な指導計画がないため学校によってばらつきがある。
新指導要領に道徳教育の充実が明記されたのを受け、〇九年四月から県内全公立高校で道徳授業を先行実施する。教諭向けに指導冊子を今年一月に作成、全日制百五十一校、定通制三十二校に配布した。一〇年度には“教科書”として生徒用約十二万五千冊を作成する。
指導内容は▽責任感▽他者に対する礼儀や思いやり▽生命尊重や人間としての弱さを克服する力▽社会とのかかわり―が柱。
教育委員会の席上、教育局は「自殺やネットいじめが社会問題化する中、事故があってから学校が対処するのでなく、生徒自身が生きる力を身につけるきっかけとしたい」と目的を説明した。
一方、出席した委員からは「道徳観は学校生活や家庭教育、他者とのかかわりの中で身につけるものではないか」などの異論も出たため、石川正夫委員長は「今後、委員会として道徳教育の勉強会を開く必要もある」との見解を示した。
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