三重県伊勢市の私立皇学館高校の男子生徒(16)が自殺した問題で9日夜、同校の大島謙校長が男子生徒の自宅を訪れ、両親に調査の中間報告をした。生徒へのいじめがあったとみられることを伝え、謝罪した。
その後、取材に応じた生徒の父親によると、校長はいじめの具体的内容は不明としながらも「(生徒の)死を防ぐことができなかった。申し訳ございませんでした」と述べたという。
父親は「以前よりは誠意のある対応だったが、納得するのは事実を解明した時だ」と話した。
大島校長は報道陣に「両親に謝罪した」とだけ述べた。
皇学館高校1年の男子生徒が自殺した問題で、生徒の父親が9日、毎日新聞のインタビューに応じた。
息子を救えなかったと悔やむ一方で、学校の調査が学年末試験を理由に自殺から4日後に始まったことに触れ、「他にもいじめられている子供がいると遺書にあった。他の子を救うためにも早く動いてほしい」と訴えた。
亡くなった生徒は陸上部の短距離選手だった。父親によると、遺書には「インターハイに行きたかった。もっと遊びたかった」と書かれていた。
スポーツ医療や救急救命士を目指しており、2人で外食に出かけては進路を話し合ったという。今月1日には「理系(の大学)に進む」と決意を話していたといい、父親は「息子を救えなかったことに私も責任を感じる」と悔やむ。
遺書には、他にもいじめられている生徒がいると訴えるくだりもある。
父親は「事実を究明し、再発防止を図ろうという姿勢がみられない」と指摘する。
同校の中村貴史教頭は「対応が遅くなっていることは反省している。家族に協力していきたい」と話している。【岡大介、福泉亮】
毎日新聞 2009年3月10日 中部朝刊