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日本の自殺率は世界9位


 
過労による精神障害の労災請求は4年で倍増。
警察庁は今月5日、1月の全国の自殺者(暫定値)が2,645人だったことを明らかにした。月別の自殺者数の公表は初めてのこと。最多は東京の255人、北海道は7番目に多い118人だった。
警察庁による2007年の自殺者総数は3万3,093人(男性2万3,478人、女性9,615人)。職業では「無職者」(1万8,990人)、原因・動機は「健康問題」(1万4,684人)が最も多い。自殺者は1998年から10年連続で3万人を超えている。08年も3万人を超え、11年連続となる見通し。
政府は自殺が深刻な社会問題となっていることを受け、07年に「自殺総合対策大綱」を策定、16年までに自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)を20%減らす目標を掲げている。
しかし、経済や仕事上の問題を要因とした自殺者は年々増加しており、急激な景気後退の側面からしても自殺者を減少させることは容易でない。倒産や失業が増加すれば、さらに増えることも考えられる。
WHO(世界保健機関)の統計でも、日本の自殺率は以下のように突出している。
リトアニア(05年) 38.6(男性68.1、女性12.9)
ロシア(05年) 32.2(男性58.1、女性9.8)
ベラルーシ(03年) 35.1(男性63.3、女性10.3)
スロベニア(06年) 26.3(男性42.1、女性11.1)
ハンガリー(05年) 26.0(男性42.3、女性11.2)
カザフスタン(05年) 25.9(男性45.0、女性8.1)
ラトビア(05年) 24.5(男性42.0、女性9.6)
日本(06年) 23.7(男性34.8、女性13.2)
ガイアナ(05年) 22.9(男性33.8、女性11.6)
上記は北朝鮮、イラクなどを除く、世界100カ国のデータに基づくワースト10。各国の年次は異なるが日本の自殺率は9位の高率。最も自殺者の多いロシアは4万6,063人(05年)。
06年の日本の自殺者は2万9,921人。これは厚生労働省「人口動態統計」に基づく数値。警察庁の自殺者数は外国人も含んでいるが、人口動態統計は日本人だけが対象のため、3万人には達していない。
日本人の死因のトップは悪性新生物(がん)。自殺は死因の6位で死亡総数の2.8%を占めている。自殺総数が前年から約8,000人の急増となった98年以降、中高年の男性自殺者は大幅に増えている。サービス残業や過大なノルマなどを原因とした仕事上のストレスが精神障害を発症することも珍しくない。
こうした事情から極度の過労による自殺も後を絶たない。03年度に447件だった精神障害による労災請求は、07年度に過去最高の952件に倍増した。このうち過労による自殺(未遂を含む)の認定件数も過去最高の81件となった。
自殺の予防に不可欠となる「自殺者予備軍」を早期に認識し、適切な措置を講じるためには、自治体や医療機関、企業、家庭などの横断的な取り組みが急務だ。







関連サイト

WHO 各国の自殺率
http://www.who.int/mental_health/prevention/suicide/country_reports/en






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