搬送先選択支援システムを提言−救急情報の活用研究会
周産期を含む救急患者の搬送・受け入れの円滑化を目的に、医療現場や消防機関で活用する周産期救急情報システムと、救急医療情報システムとの連携の在り方を検討してきた厚生労働、経済産業両省の「救急患者の医療機関への受け入れを支援する情報活用等に関する研究会」は3月12日、報告書を大筋で了承した。救急患者の搬送・受け入れを円滑にするため、救急隊による搬送先選択の迅速化や、医療機関による応需情報の更新をリアルタイム化するための支援システムの構築を提言している。報告書を受けて経産省は来年度、これらの情報共有の有益性を検証する実証事業に着手。その結果を踏まえ、都道府県などにシステムの普及を働き掛ける。
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周産期の救急患者をめぐっては、東京都立墨東病院などによる受け入れ困難事例が社会問題になった。これを踏まえ報告書では、現在の周産期救急情報システムと救急医療情報システムが抱える問題点として、▽医療機関が多忙で、応需情報がリアルタイムに提示されない▽半数以上の都道府県で、これら2つのシステムがそれぞれ独立して運営されているため、母子双方に適切な医療を提供できる医療機関を円滑に選定できない−などを列挙している。
また、周産期救急情報システムが都道府県単位で運営されているため、県境を越えた搬送が必要なときに隣県の応需情報が確認できない点も問題視。その上で、これらの改善を図る支援システムに必要なものとして、「受入可否判断支援機能」「救急現場コミュニケーション機能」など10の機能を挙げた。
「受入可否判断支援機能」の考え方として具体的には、医療機関ごとの手術室や医療スタッフの稼働状況などの情報を、他の医療機関や救急隊、救急・周産期情報センターといった地域の関係者が閲覧できるようにする仕組みを提言。
また、「救急現場コミュニケーション機能」については、▽救急隊による搬送先の選択を支援するため、心電図や画像などの患者情報を救急車から救急・周産期情報センターに登録できる▽医療機関側の受け入れ準備に役立てられるよう、遠隔操作が可能なカメラを救急車に設置し、医師が患者の容体を確認できる―などの機能の必要性を指摘している。
報告書では、周産期救急情報システムと救急医療情報システムの表示項目の共通化にも言及し、「現場で救急隊が判断するのは疾患名ではなく、胸痛や頭痛などの症候なので、これらを根拠に搬送先を選定することは理にかなっている」と指摘している。ただ、こうした変更を実現するには医療機関側の意識変革が必要になるため、これらの情報が従来の診療科別応需情報に比べて有益かどうかを実証事業で検証する必要があるとしている。
更新:2009/03/13 20:08 キャリアブレイン
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