2年前の閉経ごろから姑の介護や子どもの病気などが重なり、不眠、頭痛、肩こりなど不調が続いています。婦人科で更年期と診断され漢方薬を処方されましたが、胃が弱くて中止。新聞でホルモン補充療法(HRT)の記事を読み、医師に相談すると更年期のパンフレットを渡されましたが、忙しそうで質問できませんでした。記事によるとHRT用の薬剤の種類も増えているとか。自分に合うタイプを選ぶにはどうしたらよいでしょうか。(54歳、主婦)
更年期には体の変わり目に加えて、老親の介護や娘・息子の就職、夫の仕事の問題などが重なり、それが不調の引き金になったりもします。今後の健康づくりのためにも、自分に合う治療法を選び、更年期の不調を長引かせないようにしたいものです。
ホルモン補充療法(HRT)は更年期医療の柱の1つですが、最近は再評価の動きが高まり、新聞や女性誌でも情報が得やすくなっています。しかし、産婦人科医師の多忙さや更年期への理解不足もあり、質問しにくいという声も電話相談には寄せられています。この方の場合、医師からパンフレットを渡されたとのことで、それを手がかりにポイントを絞って医師に相談しながら、自分に合う治療法を試してはと思います。受診の際には、(1)一番つらい症状(2)これまでの経過(3)HRTなど相談したいことをメモしておき、短い診察時間の中でも質問できる準備を。女性の視点に立った情報源としては「メノポーズを考える会のホームページ(http://www.meno-sg.net/)も活用できます。
HRTは、閉経前後から急速に減少する女性ホルモンを補充する治療法で、エストロゲン(卵胞ホルモン)剤と子宮を守るためのプロゲステロン(黄体ホルモン)剤の2つの薬剤を併用します。しかし、エストロゲン剤には、飲む錠剤(プレマリン、ジュリナ=天然型エストラジオール)、貼るパッチ(エストラーナ)、塗るジェル(ル・エストロジェル、ディビゲル)の3タイプあるのに、プロゲステロン剤は飲むタイプだけで併用するのが面倒という声もありました。
今年2月から、エストロゲン剤とプロゲステロン剤を一緒に配合したパッチ(メノエイドコンビパッチ=効能・効果は更年期障害)と内服薬(ウェールナラ配合錠=効能・効果は閉経後骨粗しょう症)が発売され、使いやすさの点で注目されます。
しかし、薬剤の種類が増えると選択に迷うという声も聞かれます。皮膚から浸透するものは、直接血液に入るので肝臓にやさしい特色がありますが、昨年発売された飲むタイプでは初めてのエストラジオール(天然型)の錠剤が自分にはよく合うという女性もおり、体験者の声もさまざまです。迷うだけでなく、医師にも相談し、自分に合うものをまず1か月試してみるという一歩前に出る姿勢も必要です。
同時に、1人で悩むのではなく、更年期の勉強会などの機会も利用しながら、高齢期へつながる長いスパンで更年期からの心身の健康づくりを考えていきましょう。
回答者:安井禮子(NPO法人「メノポーズを考える会」更年期相談対話士、医療・健康ジャーナリスト)☆NPO法人「メノポーズを考える会」の電話相談(03・3351・8001)火曜・木曜の午前10時半~午後4時半。
2009年3月13日