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「スイスのジゴロ」に懲役6年 被害総額は8億円
【ベルリン=黒沢潤】ドイツ自動車大手BMWの大株主の女性資産家と情事を重ね、700万ユーロ(約8億8000万円)をだまし取ったとして、ドイツ南部ミュンヘンの裁判所は9日、スイス国籍の元銀行員の男に対し、懲役6年(求刑懲役9年)の実刑判決を言い渡した。独メディアは、元銀行員に同様の前科があることから“スイスのジゴロ”と呼んでいる。
判決によると、元銀行員のヘルグ・スガルビ被告(44)は2007年夏、BMW女性大株主のズザンネ・クラッテン氏(46)とオーストリア・インスブルック近郊のリゾート地で知り合いになった。被告は情事を重ねたクラッテン氏に「米国での交通事故で少女1人を負傷させた」などの話を信じ込ませ、段ボールに入れた700万ユーロの現金をミュンヘン市内にあるホテルの地下駐車場でだまし取った。
スガルビ被告はさらに、夫のいたクラッテン氏に離婚を迫り、2人の「新しい生活」のために2億9000万ユーロを要求したが、不審に思ったクラッテン氏が関係を打ち切ると通告した。
しかし、スガルビ被告はその後もクラッテン氏につきまとい、4900万ユーロを払わなければ、38分間にわたる情事を録画したDVDを夫やメディアに送りつけるなどと脅し、昨年、逮捕された。
スガルビ被告はスイスの一流銀行で企業買収などの実務に携わった経験があり、6カ国語に堪能だという。クラッテン氏のほかにも複数の女性を欺していたことが判明しており、独メディアなどによれば、被告に対する女性たちのイメージは「チャーミングでインテリ、聞き上手」だったとされる。
被害にあったクラッテン氏はBMWの大株主で、「ドイツでもっとも資産を持つ女性」(ファイナンシャルタイムズ紙)とされ、フォーブス誌の資産家ランキングでも世界55位にあげられている。