2009年3月11日13時49分
ドイツ南部ミュンヘンの裁判所で9日、開廷を待つズガルビ被告=ロイター。反省の弁を述べるも、事件の真相を隠し続けるその顔には笑みが浮かぶ
【ベルリン=金井和之】「スイスジゴロ」の別名でドイツのメディアをにぎわせた44歳の男が、独自動車大手BMWの大株主で、米経済誌の長者番付にも登場するスザンネ・クラッテンさん(46)を脅迫したなどとして、独南部ミュンヘンの州裁判所で9日、禁固6年の判決を受けた。
DPA通信などによると、男はヘルグ・ズガルビ被告。スイス特使などと身分を偽って何度も女性をだましてきたとされ、07年に出会ったクラッテンさんには、架空の交通事故について話し、700万ユーロ(約8億7千万円)を受け取ったうえ、生活費なども要求していたという。
クラッテンさんに拒否されると、ホテルで撮影した密会場面の映像をばらまくなどと脅し、4900万ユーロ(約61億3千万円)を要求。被害届を受けた警察に、昨年1月に逮捕された。ズガルビ被告は、受け取った金やビデオについて一貫して黙秘。事件の真相は闇のままだ。
クラッテンさんは、経営危機に直面していたBMWを救済した父の死後、母親らとともに同社の株を相続。米経済誌フォーブスの長者番付の常連となった。一族はマスコミの取材を受けない「謎の一族」としても知られる。