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続・誤報だらけの地球温暖化情報 (下)

環境問題でわたしたちがすべき本当のこと

伊須田 史子(2008-02-07 19:30)
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 asahi.com (1月30日付)によると、欧州連合(EU)欧州議会のペテリング議長(ドイツ)が、地球温暖化対策についての「日本の具体的な計画や行動に期待している」と述べ、日・EUの協力の重要性を指摘しました。〔参照:asahi.com 温暖化防止策「日本に期待」EU議長が会見

 同記事によると、議長は、日本が温室効果ガス削減の数値目標を具体的に示していないことについて、「日本が決めること」としつつ、「残された時間はなく、日本の貢献は不可欠だ。米国やインド、中国などを温暖化防止の枠組みに引き込むことが必要で、その方策を日本と話したい」と述べています。全地球的な温暖化対策の中で日本への期待が否応なく高まっていることは確かなようです。

 こうしたEUの期待に、日本はどう応えるべきなのでしょうか。また、現在の温暖化が「自然変動」だとすると、わたしたちが本当にすべきことは一体何なのでしょうか。

 この難問に、米国・フェアバンクスのアラスカ大地球物理研究所と国際北極圏研究センター(IARC)の前所長、また同大の名誉教授である地球物理学者の赤祖父俊一氏(メールによるインタビュー)は次のように答えました。

───この「0.5度/100年」という自然由来の温室効果率は、人間が何をやっても所詮食い止めることのできるようなものではない、ということですか?

 小氷河期からの回復が続くとすれば、そういうことになります。自然変動は、止められませんので、それに対応していくより仕方がありません。

 少々不便になるかもしれませんが、大丈夫ですよ。現代が便利になり過ぎているのです。50年前は今に比べれば不便な時代でしたが、人はそれでも生きていましたから。

 ついでですが、小氷河期の原因が分からないと、なぜ小氷河期から回復しているのかも分からないので、研究中です。小氷河期以前に何回も、今より暖かいまた寒い期間がありました。どれも原因不明です。自然変動の原因の分からないものというのは多いのです。
赤祖父氏の論文より。直近200年の変動は、50万年スケールの変動全体からみれば、自然変動の範囲内
IPCCは学会ではないし、とくに権威もない

─── 今回の一連の記事では、おっしゃる通り、という反響の半面、京都議定書やIPCCの報告書が間違っているというというのはどうか、今回の規制はそれなりに評価すべきではないのか、個人や団体の個々の働きかけは評価されてしかるべきではないか、さらには、どの主張にも一長一短があってどれを信じればいいのか分からない、といった声もありました。どう思われますか?

 もともと温暖化問題は、EU が米国の経済的優位性を炭酸ガス問題で牽制する道具でした。現在では、金持国と貧乏国の争いの道具になっているだけです。

 もし、IPCCの言うように大変なことになる可能性があれば、各国首脳は炭酸ガス削減でとっくに合意しているはずです。今まで何回会議をしても、何も決まらないのはなぜですか? 政治家たちが皆、温暖化問題は政治の道具であることを十分知っているからにほかなりません。

 IPCCは学会ではありません。特別の権威もないのです。なぜ、日本の学者がIPCCに選ばれることを光栄と感じ奉仕をしているのか、私には分かりません。残念ながら日本は、この面でも後進国です。

─── 地球温暖化防止のためにわたしたち人類には今一体何が必要なのでしょうか。

 要は、エネルギーのムダを省き、石油資源をできるだけ子孫に残しましょう、で十分な大義名分があるのです。

 まず、「地球は火の玉になる」というような脅かしは止めなければなりません。その一方で、地球が温暖化しているという現実への実際的な対処を「負け戦」などと思う必要はありません。IPCCは、過去100年の温暖化は炭酸ガスによる、とコンピュータに教えたうえで計算しているので、50年後、100年後の推定は、その 1/6以下です。

 それで、今行なわれているような仕方で「温暖化防止」ばかりに注力せず、「エネルギー保全」の大義名分に従って、核融合を含めた原子力エネルギーの開発に資金を使うべきです。炭酸ガス放出削減にだけ膨大資金を使っても意味はないでしょう。

 米国では現在、経済問題が何より重大で、「経済だよ、馬鹿者」(It's the economy, stupid.)と叫ばれています。炭酸ガス削減はGDPに直結しています。それであればこそ各国首脳は絶対に合意しないのです。

 日本は世界の優等生になりたいのでしょうが、まだ不正確なIPCCの結論を丸ごと信じて国全体が不景気になったらそれこそ大変です。福田首相は2050年までに50%削減と言っていますが、そんなことをしたら経済が大変です。そう言うと地球が火の玉になる方が大変である、という反論が返ってきますが、不景気はもっと大変です。

 現在、米国の不景気で日本も含めて、世界中の銀行が大損をし、あわてているのをご存知ですしょう? 世界にとっては、経済と比べれば温暖化など問題でないのです。日本も不景気は絶対に避けなければなりません。

 「地球が火の玉になる」というようなものは単なる脅かしです。どうして日本では官僚と報道が温暖化で騒いでいるのでしょう。そんな脅かしで訳の分からないことに資金を使うより先に、目先で起きている環境破壊や森林の伐採を問題にすべきです。

 日本は、「インドはIPCCの議長国であるから、まずお手本を示しなさい。それを見てから対処します」でよいのです。


【参照】
財務省広報誌「ファイナンス」2007年12月号、同5月号の「赤祖父博士のオーロラ直送便」
Is the Earth still recovering from the “Little Ice Age”? - A possible cause of global warming (英文PDF)

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