世界に向けてオフィス家具トレンドを発信する大舞台
欧州最大の国際オフィス見本市「orgatec(オルガテック)2006」の現地レポートの2回目。オフィス家具の世界トレンドをいち早く知ることができるオルガテックの注目ポイントに迫りながら、世界市場に向けて飛び立っていく話題の新製品をレポートする。
1.オフィス家具はスクウェアでシャープなフォルムへ
Giroflex社(スイス)の新型オフィス
チェア「NEXUS Pro」
オルガテックは、世界のオフィス什器メーカーが新作を発表する舞台であり、業界の今後の方向性やトレンドなどがいち早く把握できる場である。そこで、現地取材を通して感じられた、世界のオフィスデザインの今をレポートしてみたい。
オフィスチェアはメッシュチェアが依然として主流である。ブラックをメインに、ホワイトやシルバー系のメッシュチェアを主体に、新製品をラインナップしている。全体の傾向としてはスリム化が図られており、個性的なフォルムよりも、空間に調和するシンプルなデザインを追求していると感じた。
そんな中で、オフィスチェアの名門Giroflex社(スイス)では、エアークッションを採用した次世代オフィスチェアを発表。同社の研究による新しいエルゴノミクス(人間工学)を取り入れたコンセプトチェアに力を入れていた。
ワークステーションは、数年前まで多かったオーガニックな曲線デザインは少なくなり、スクウェアでシャープなフォルムのデスクやテーブルが大きなトレンドとなっていることが挙げられる。天板は薄さを追求し、しかも大型化している。デスク脚もシンプルで無駄のないデザインヘと進化している。
2.トレンドカラーは「白」と「黒」
HAWORTH社(アメリカ)は全体的に
白を基調にした家具をメインに展示
カラーの傾向は、「白」と「黒」が大きなトレンドだと感じられた。白い薄型天板のワークステーションと、メッシュを主流としたスリムなブラック系のチェアを組み合わせた展示を主体に、各メーカー独自の特長をアピールしている。
その代表ともいえるのが、HAWORTH社(アメリカ)。数種類の白のワークステーションと黒のメッシュチェアの組み合わせで、ブース全体を構成している。また、アルミフレームと透明ガラスのパーティションで仕切った個室の中に設けた会議空間やエグゼクティブ空間は、質の高さが伺えるハイグレードなオフィス環境を提案していた。
HAWORTH社の新製品Zodyチェアと
大型天板のワークステーション
HAWORTH社のガラス張りの
パーティションシステム
vitra社(ドイツ)の新チェア「Worknest」
地元ドイツのVitra社は、今回のオルガテックで人気が高かったブース。NetworkとNest(巣、すみか)を両立させるコンセプト「Net’n’Nest」を掲げた提案が多くの来場者を引き付けた。なかでも、注目されたのが、チェアの背部が座った人の頭部まですっぽりと覆い、周囲の音を遮断して集中力を高める新型チェア「Worknest」。大部屋の中に個人の巣(Nest)を簡単につくることができるユニークな製品である。また、音と視線を遮るソファも展示されていた。
柔らかなファブリック素材で
遮音効果を高めたvitra社のソファ
フィリップ・スタルク氏デザインの
個性的なデスク(vitra社)
黒一色のワークステーションを発表した
GUBI社(デンマーク)
bene社(オーストリア)の薄型でシャープな
ワークステーション
ホワイトとグリーンでデザインされた
sedus社(ドイツ)のワークステーション
キャビネット部分のアクセントが個性的な
白一色のワークステーション(fantoni社・イタリア)
赤と木目が印象的なRENZ社(ドイツ)の新作デスク
TwinForm社(オランダ)のワークステーション
独創的なデザインのKusch社(ドイツ)のロビーチェア
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『ORGATEC(オルガテック)』とは……
ドイツのケルンメッセで2年に1度開催されるオルガテックは、オフィス家具・周辺設備、ワークプレイスのファシリティ・マネジメントをテーマするオフィスの専門メッセ。米国シカゴで開催される「ネオコン」と並び、世界最大級のオフィスイベントとして約700社が出展。各社は新作発表の絶好の舞台として、多彩な展示を繰り広げる。世界中から専門バイヤーをはじめ建築家、インテリアデザイナーなどが集結し熱気に包まれる。 |