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臨床研修 基礎軽視は本末転倒だ 3月12日(木)

 厚生労働省と文部科学省の検討会が、新人医師の臨床研修制度について、提言をまとめた。必修の診療科目を大幅に減らし、2年の研修期間を実質1年に短縮できるよう見直す内容だ。

 狙いは、現場の医師不足解消にある。専門性の高い実習ができる大学病院に研修医を呼び戻しやすくして、即戦力として活用する効果が期待されている。

 研修期間の短縮は、医師を確保する早道のようにもみえる。だが、その通りに実行したら、制度の理念はゆがめられる。

 いまの制度は、専門分野に偏ってきたこれまでの医師養成のあり方への反省に立っている。基礎の段階で幅広く経験を積み、総合的な診療能力を身につけることを目的としている。

 そもそも医師教育と、医師不足対策は別の問題である。臨床研修の短縮には賛成できない。

 現行制度では、内科、救急、地域保健・医療、外科、産婦人科、小児科、精神科の7診療科が必修となっている。

 見直されると、必修は内科、救急、地域医療の3科に減る。2年目から、将来専門にしたい診療科に専念できるようになる。

 小児科や産科を、なぜ必修から外すのかが分からない。なり手がますます減ってしまうだろう。精神科も、患者の心をくみ取る経験から学ぶものは大きいはずだ。

 臨床研修がいまの形になった2004年度以降、大学病院では人手不足が深刻化している。研修先を自由に選べるようにしたところ、症例数が多く実践的な医療を学べる都市部の民間病院に、研修医が流れているからだ。

 この結果、大学病院が自治体病院などに派遣している医師を、相次いで引き揚げる事態となった。各地で医師不足に拍車がかかったとされるゆえんだ。

 医師が足りない原因は、それだけではない。根本には、長年にわたって医師数を抑え、医療費を抑制してきた国の政策がある。提言はそこを素通りしている。

 医師の確保は第一に、病院勤務医など現場の待遇改善によって図られるべきだ。さらには、医師の計画的な配置や、専門医の養成のあり方について議論を深める必要がある。

 臨床研修の2年間は、医師として生きていく土台をつくる時期にあたる。さまざまな医師や患者に出会い、実地の経験を重ねることは、まわり道にみえて、将来の豊かな医療につながるはずだ。そのための時間を惜しみたくない。

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