パンクなんて、ハハハ!ってなもんで、パンクしない歴何年にもなると、鼻で笑うようになっているになるのである。
ところが、久しぶりに名郷の帰り、天目指峠を越えて、子の権現。
午前中、MTBでヘロヘロ状況なので、ことに子の権現の最後の1キロは、脱糞寸前。ハイカーに足を着くのを見られるのが恥ずかしいので、意地で登るも、最後の駐車場のところでダンシングしたら、マウンテンバイク並みに後輪が滑ったぞ。
さてと、下りだ。激坂下りを注意深く下って、やや傾斜が緩やかになったところで、ぐりぐりとダウンヒルを楽しむ。
そしたら、後輪からシューッという背筋の凍る音が大きくなったり小さくなったり(ほら、車輪が回転して耳に近づいたり遠のいたりしているから)。脳裏には、タイヤが嵌められなくなった自分の姿が目に浮かんだね。
というのも、ボクのタイヤは、ロードでは珍しいチューブレスタイヤなのだ。とても、嵌めるのが固くて嫌になる類のもの。
少し杉の梢から光が漏れている場所に陣取って、タイヤを外す。店長に何回も指導を受けた手だけで外すやり方、リムに沿ってタイヤをしごきながら余裕を持たせて、そのうち、ぽっかりとリムの上部に隙間ができて、簡単に外れた、はははっ、という訳にはいかず、タイヤ外しの棒を突っ込んで、なんとか外す。この時点で、腕の筋肉30%くらい枯渇。
さてと、チューブのバルブに口で息を入れて少し膨らませて、タイヤの中に入れて、今度は、タイヤをねじ込んでいく。
誰も通らぬ、吐く息だけが生き物の兆候であるような、暗い雪の残った細道で、歯がカクカクと音を立てながら、小便がしたいようなしたくないような気分で、「フッ、ハ〜ッ、クククッ」とか気合いを入れながら、最後のあざ笑うかのようなリムから垂れ下がっているタイヤの直線部分をリムの円周に乗り上げるように、店長から直伝の周囲からしごくようなやり方で、手ではめ込む。
簡単に入った!という訳にはいかず、嵌めなければいけないところを両手でガシッと掴んで、雑巾を思いっきり絞るように、実力行使で嵌めにかかる。
握力が徐々に低下し、指には何処で切ったか、ナイフで切ったような傷から血が滴りだして、満身の力を込めて、顔中赤鬼のように真っ赤にさせながら、ちょっと小便が尿道の先から漏れかかる寸前に、子の権現周囲数キロに響き渡ったかも知れない雄叫びと共に、タイヤをねじ込むことに成功。
この時点で握力ほぼ無くなる。
チューブがリムとタイヤの間に挟まっていないかを確認して、男の仕事を済まして大満足感一杯で、空気を入れることにする。
携帯の空気入れを取り出して、バルブに突っ込んで、スッコスッコと、小気味よくタイヤが膨らんでいき、ハイプレッシャにして、最後の10回くらい、腕の力がほぼゼロなので、腰を使いながらビューッ、ビューッと、目に汗が入るほどの頑張りようで、気圧も相当入って、パンク修理完了。
空気入れをバルブから取り出す。ん?なかなか取れないぞ。ぐりぐり捻りながら取り外しにかかる。ちょっと力を込めて、垂直に引っ張った瞬間、ピィーーーーースゥ、ス、スル〜と大音声を上げて、バルブからねじ回して空気を入れる部分の金属部が取れてしまったのでした。
ああああああああああああああああああああああああああと声にならない声を上げて、空を睨んだ。涙がこぼれそうだったので。
というわけで、これこそまさに徒労。
とぼとぼ、下り基調の道だったので、ゆっくりと、時々バナナの皮を踏んづけたかのように後輪がズルっと滑るのが楽しくなるほどに、パンクしてフラットの状態で、飯能まで帰るしかないな、と決心したので、その状態でしばらく走る。
が、徐々に、ホィールに直接路面の凸凹の衝撃が伝わるので、だんだん、ホィールが壊れないか心配になってきた。たしか、後輪だけで、6万円かそのくらいする車輪だよ。もし壊れたら、その出費が怖くなった。
で、この当たりは、ジョギングしているものだから、おおよその距離感は掴めるので、歩いて帰ることにした。2時間もあれば、帰れるだろう。
が、ロードのクリートは歩きづらいし、裸足で歩くには、寒いし、とぼやきながら、とぼとぼ歩いたいたら、黄色いジャージの自転車乗りがこちらに来るじゃありませんか。
O野君???幽霊か???
間違いなくO野君。
「チューブもっている?」と第一声を発して、O野君に助けを求める。
いやあ、地獄で仏とは、このこと。
この日、ローディには、ほとんど合わず、その数少ないローディがO野君だった。
で、何とかタイヤを外して、チューブを入れて、タイヤをねじ込む。もう、握力が無いので、タイヤを入れるための器具を使って、パッチンと力づくで何とか嵌めたら、空気入れで入れてもタイヤが膨らまない。
どうやら、嵌めるときの器具でチューブを傷つけてしまったらしい。
泣きそうな気分で、また取り外しにかかる。
腕は、一つの誰かから借りてきた棒のような感覚。もう、力が入らない・・・。
何とか外して、チューブにパッチを貼って、再度嵌めにかかる。今度は、O野君の両手とボクの両手で、残る最後の力を振り絞って、2人がかりでタイヤを嵌めにかかる。
やったね、嵌りました。
というわけで、危うく遭難しそうだったけれど、O野君に助けられたおじさんであったのでした。かっこ悪い。
O野君どうもありがとう。
サイクルハウス三上によって、高級チューブとパンク修理セットをO野君にお返ししてなんともアドベンチャー的なロードを体験したのだった。
ああ、疲れた。
チューブレスタイヤの問題点
その1 圧倒的に嵌りにくい。技量を磨かなければならないけれど、そうそうパンクしないし、そんな技量を磨くほど体験できそうにない。
その2 チューブレスタイヤに空気を入れるときに、ビードが上がらずに、自宅用の空気入れだと空気がなかなか入らないことが多そうである。
チューブレスタイヤは、性能は良いのかも知れないけれど、こう言うときに泣けてくる。次回からは、普通のタイヤにしようと思う。
チャリ歴何年のロビオさんでもこういうことあるのですね。
自分は年数長くても乗る回数少ないから、1人で乗ってるときにパンクがいまだないのです。替えチューブとか持って乗るようにしてるけど、現地体験がないので自力で交換できる自信なし。ほんとは他人事じゃないのにー、笑っちゃいました。
普通のタイヤなら、まあ、面倒だ!くらいの範疇ですが、これが、チューブレスだと、大事件です。
マウンテンバイクも、チューブレスを使用していますが、これもパンクしたらどうしようと、いつも悩んでいます。
一度、マウンテンでパンクして、二人の両手で何とかはめましたが、まあ、一人だと無理じゃなかったかな?
経験を積むほどには、パンクせず、技量不足のまま、忘れた頃に、突然プシュ〜ッという音を聞くことになります。
オオこわ!