脳出血で倒れ7カ月…中原誠十六世名人が引退
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現役引退を発表する、将棋の中原誠十六世名人
Photo By 共同 |
将棋の中原誠十六世名人(61)が11日、東京都渋谷区の将棋会館で記者会見し、現役引退を発表した。「タイトル戦含め多くの舞台を踏ませていただき、勝負を十分に堪能した」と話した。
昨年8月の対局後に脳出血で倒れ入院、その後の対局を休んでいた。公の場は入院後初めて。右手に持ったつえをつきながら会見場入り。引退を決意した最大の理由について「左半身がマヒしている状態で立ち振る舞いが元通りにならなかったこと。1月半ばごろに決断した」とした。そして「18歳で四段になった時はもっと早く引退するつもりだったが、43年もやったから十分だと思う」と続けた。
中原氏は“自然流”と呼ばれた安定した棋風で一時代を築いた。名人15期、棋聖16期のほか、王将、棋王など通算タイトル64期は故大山康晴十五世名人の80期、羽生善治名人(38)の71期に次ぐ史上3位。名人、王位など5つの永世称号を獲得している。67年度の年間最高勝率8割5分5厘は、40年以上破られていない。最も印象に残るタイトル戦と一手は「最初に大山名人に挑戦して奪取したシリーズ。一手は、米長(邦雄)さんとの第37期名人戦の5七銀。指す前から、これはいい手だ、もしかしたら歴史に残る一手ではないかと思った」と振り返った。4月1日付で名誉棋士会長に就任。今後は評論家として解説や、文筆活動などで将棋界を盛り上げていく。
終始、淡々とした語り口を貫いたが「悔いがあるとすれば(挑戦権を逃した03年の)竜王戦挑戦者決定戦。羽生さんと1度、タイトル戦をやってみたかった」。この時ばかりは少し寂しそうな表情を浮かべた。
◆中原 誠(なかはら・まこと)1947(昭22)9月2日、宮城県塩釜市生まれの61歳。57年に高柳敏夫名誉9段の門下生となり、65年に4段に昇進しプロの道へ。68年の棋聖戦で初タイトルを獲得。72年に大山康晴名人(当時)を破り24歳の最年少で名人位に。通算成績は1308勝762敗。03年から2年間、日本将棋連盟会長。08年4月には紫綬褒章を受章。趣味はクラシック音楽。
[ 2009年03月12日 ]
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