NHKはうつ病治療の常識を変える!ガッテンできない・・・

2009年03月11日
関係者の話によると・・・と言うと、NHKみたいになってしまうが、彼等とは違いできるだけ客観的に記そう。

過日、NHKスペシャル『うつ病の治療 常識が変わる』が放映された。その番組の主張の骨子は、現在の精神科診療では投薬数が多すぎる、投薬数を減らすべきだ、認知行動療法を取り入れるとうつ病は劇的に改善するということだった。認知行動療法を行なう臨床心理士の立場を高めようという意図が読めた。

この番組によって、うつ病患者の方々、精神科医の間で大きな波紋が広がっている。

一部の患者さんでは、現在受けている治療への不信感、不安感が高まり、内服を自分の判断で止めてしまったり、中には、自殺企図をなさった方も出ている。

精神科医の中には、十分な訓練を受けずに多数の薬物を闇雲に投与している医師も皆無とはいえないが、多剤併用をするのはそれだけ重症のケースであり、多剤によってようやく良い状態が維持されている場合も多い。認知行動療法も、まだまだ実際に行える施設・臨床心理士も数少なく、その効果も、薬物療法を補完する程度の存在のようだ。

どうして、これほど一方的な内容の不適切な内容の番組を、NHKが放映したのだろうか。今回のNHKの番組作りの背景が、「関係者の話から」判明した。

○臨床心理士の国家資格化に反対した日本精神科診療所協会(以下、日精診と略す)幹部に、NHKの番組制作下請け会社のスタッフから何度か問い合わせがあった。

○その問い合わせは、自民党の某議員が行なうようにそのスタッフに命じた。

○その議論は、同日精診幹部の発言を特定の方向に導こうとするものであった。

○同日精診幹部は、番組へのコメントを断った。

で、ここからは推測になるのだが、その某議員または同じ勢力から、NHKに、この番組を、最初に述べた主旨で制作するように働きかけがあった。NHKは、下請け制作会社に丸投げした。その際に、臨床心理士の国家資格化に消極的であった日精診の幹部に翻意を促す、ないし番組の流れから、日精診の主張が間違っていると、視聴者に印象づけようと考えたのではないだろうか。上記働きかけを行った議員は、自らの主張を世論とするために、NHKを利用した。NHKは問題の重要性を考えずに、下請け会社に制作させた、医学的に観ると不適切な、一方的な内容の番組を放映した、ということになるのかもしれない。

マスメディアを、世論誘導の道具に利用する誘惑は、時の権力者にとっては抗いがたい、それどころか、積極的に利用している。医療現場にいると、そうした記事・番組に、よく出くわす。国民の側が、そうした記事・番組を距離を持って眺める、場合によっては、その不適切さをマスメディアに強く訴える必要があるように思われる。

もしかすると、この番組を制作したのは、『ためしてガッテン・・・』の制作会社だったのかも・・・結論が、単純化され、そこへ誘導する番組作りがそっくり(苦笑。うつ病という、とても困難な病気をこのように、何らかの意図をもって軽々しく扱うNHKには、猛省を促したい。
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