アメリカの大統領や政府高官も“外遊”をしてるのかなぁ?
日本の新聞、テレビなどのマスメディアが、「オバマ大統領、初の外遊先はカナダと発表 ホワイトハウス」などと報じた。また「ヒラリー・クリントン国務長官、初外遊先は日本? 米紙報道」とも。
私が気になるのは、ホワイトハウスや米紙が、実際に“外遊”と報道したのか?
1月28日に行われたホワイトハウスのプレスブリーフィングでは「first foreign trip」と説明している。旅行であり、出張だ。
これを「外遊」と訳すのが正しい報道なのだろうか?
海外のメディアの見出しを拾ってみると、first foreign trip、first international trip、travel to、visit to などと報道している。“遊び”のニュアンスはない。
日本の政治家や公務員、外郭団体や公益法人の理事などが海外視察と称して外国へ出かけることは、メディアでは慣例的に“外遊”と表現されている。
この文字面からは、外国へ「遊びに行く」としか読めない。実際に、その実態が観光旅行に近いと、一般市民の誰もが思いこんでいる。「公務員の役得」と見ている。悲しいかな、「観光の合間に、簡単な打ち合わせを挟んでいる」と見えることすらある。まさしく“外遊び”だ。
むろん、全てがそうだとは思ってはいないが、役人の“海外視察団”が問題になることは少なくない。
民間企業では、一般には“海外出張”や“ビジネス渡航”などと呼ぶことが多いが、“外遊”とは言わない。
むろん、ケースにより、会社により、人によって違うが、出発の何日も前から、準備でパニック状態になる。飛行機の中でもスタッフと打ち合わせをしたり資料に目を通したり。
現地に着いてからも息つく暇もなく走り回り、効率よく仕事をするために工夫をする。夜もホテルの自室から本国とメールのやり取りをする。やっと最後の日やオフィスが閉まる週末になって、近くのマーケットへの買い物や博物館などを見に行く程度。むろんゴルフもして鋭気を養うし、見聞を広めるために観光地へも行く。それも、その国の社会文化を理解しビジネスに活かすとともに、見聞を広めたいという自覚が強いと思う。
決して“外遊”のイメージはない。
海外視察をして見聞を広げることは重要なことだ。しかし、海外に行って現地を見ても、日頃の問題意識、視察の目的意識を持っていなければ、何の成果を上げることも出来ない。「現地を見てきた」で終わってしまう。
では、アメリカの大統領や国務長官の海外旅行も、同じような“外遊”をしているのだろうか?私の理解では、少なくとも“外交”のための現地との交流を深めようとする意識が、日本の政治家よりも格段に強いと思う。時間感覚も鋭いと思う。
日本の公務員と同じように、海外の政府首脳の外国訪問に対してまで“外遊”という表現を使うのは、外交上、礼を失するようにさえ思えるのだがどうだろう?
なぜ公務員に限って、“外遊”という言葉を使うのかは知らない。「遊びに行く」ことを、メディアは黙認しているのだろうか。
ひょっとしたら、見出しに“外遊”の文字を使うことに違和感を感じないマスメディア自身も、日頃から“外遊”をしているのかな?
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コメント
http://ext.dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/30720/m0u/%E5%A4%96%E9%81%8A/
がいゆう 【外遊】
(名)スル外国に旅行すること。また、外国に留学すること。
「欧米に―した経験がある」
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アメリカの大統領の話も海外出張も外遊ですが。
辞書ぐらい引いたらどうですか。
投稿: JT | 2009.03.12 02:04 午前