2009年3月11日(水)「しんぶん赤旗」

西松献金

自民・民主 問われる説明責任


 「一点の曇りもない」(民主党・小沢一郎代表)、「承知していない」(自民党・二階俊博経済産業相)―。準大手ゼネコン「西松建設」の違法献金事件で説明責任が問われている両氏は十日、ともにみずからの疑惑解明について、背を向ける態度を示しました。しかし、両氏の政治資金をめぐる疑惑は深まるばかりです。


西松が献金を偽装

社員60人名義 年300万円

二階氏側

 西松建設が、二〇〇六年以降、二階俊博経済産業相が代表を務める政党支部に社員ら六十人の個人名義を使って五万円ずつ、計三百万円を毎年振り込んでいたとの報道について、二階氏は十日午前の閣議後の会見で、「承知していない」としました。そのうえで、献金の詳細がわかる会計帳簿の公開について「どういうものか関係者によく確かめてみる」と述べるにとどまりました。

 政治資金規正法は、五万円を超えた献金に関して、収支報告書に氏名などを記載しなければならないと規定していますが、五万円以下の場合は会計帳簿にのみ記すことになっています。企業献金が個人献金と偽装されていたとの認識があれば、受け手側も他人名義の献金を禁じた同法違反に当たる可能性があります。

 報道や、二階氏が支部長の「自民党和歌山県第3選挙区支部」の政治資金収支報告書などによると、西松建設は実在の社員や家族ら計六十人の名義で、〇六年以降、毎年三百万円を同支部の口座に振り込んでいました。同支部への個人献金のうち、「年間五万円以下」は〇四年は「なし」、〇五年は「二十六万円」でしたが、〇六年、〇七年ともきっかり「三百万円」になっていました。

 二階氏をめぐっては、西松建設の企業献金であることを隠すために同社ОBが設立した二つのダミー政治団体から、同氏が代表を務める自民党二階派の政治団体「新しい波」が、計八百三十八万円分のパーティー券を購入してもらっていたほか、二階氏の資金管理団体が計七百八十万円の献金を受け取っていたことが明らかになっています。

金額指定し請求書

「振り込みまだか」督促

小沢氏側

 民主党の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる違法献金事件で、陸山会側が寄付者に対して「請求書」を発行し、その後支払いのない場合は督促の電話をかけるなどしていた実態が十日、本紙の調べでわかりました。

 同事件をめぐっては、政治資金規正法違反で逮捕された小沢代表の公設第一秘書で陸山会の会計責任者だった大久保隆規容疑者(47)が二〇〇〇年ごろ、「西松建設」に金額を指定した請求書を送付していた疑いが持たれており、小沢氏側の強引な資金集めの実態が改めて浮かび上がりました。

 陸山会に寄付していたのは、小沢氏の地元岩手県で建設会社を経営する男性。一九九九年ごろ、小沢氏側の依頼で、寄付金十万円を支払いました。

 当初男性は、一度きりの献金との認識でした。しかし、翌年からは「陸山会会費」として、毎年二回にわけて前年と同額を振り込むようにとの請求書が届いたといいます。

 「請求書」は年二回届き、男性は五万円ずつ二回に分けて振り込むようになりましたが、振り込みが遅れると、電話で何度も督促されたといいます。

 男性は〇三年ごろまで振り込みを続けました。

 男性は、「振り込みはまだかと何度も催促されました。小沢さんは、西松建設のダミー団体の献金について、中身までいちいち把握してないと弁明していますが、信用できません。小沢事務所の金への執着はすごいものです」と話しています。

 今回の事件では、西松建設が下請け業者に陸山会への献金を指示。献金分を工事費に上乗せしていたことが、関係者の話でわかっています。



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