【萬物相】韓日野球戦争
第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)第1ラウンド。韓国は日本に14-2のコールド負けを喫した二日後、1-0の完封勝ちで雪辱を果たし、A組を1位で通過した。このため、韓国のネット上では、韓日戦の先発投手・奉重根(ポン・ジュングン)が「烈士」と呼ばれている。前大会で「(韓国が)30年間(日本に)勝てる気がしないようにしてやる」と豪語した日本の先頭打者イチローとこの日、3度の対決をし、すべてゴロに打ち取ったという「胸のすく思い」を表現したものだ。100年前、安重根(アン・ジュングン)義士が日本帝国主義における韓国侵略の元凶である伊藤博文・韓国統監を成敗した場面を思い起こしたはずだ。一方、日本のネットユーザーは「誇らしい“アジア2位”おめでとう」と自国代表に皮肉を飛ばし、「戦犯○○、○○○を処断せよ」と激怒している。
本来、野球は体をぶつけ合うこともなく、高度で頭脳的な戦いを伴う紳士的なスポーツだといわれているが、試合用語を見てみると、「これほど戦闘的なスポーツもないのでは」と感じる。まず、どんな方法であれ相手チームの選手27人を「殺す」のが野球だ。塁に出て、死なずに返ってくれば、「生還」を喜ぶ。「ホームで惜しくも死んだ」とも言うし、ボールを打ち損ない、ランナーまでつかまる羽目になれば「二人とも死んだ」(併殺打)と言う。
韓・中・日でこうした野球用語が使われるようになったのは、野球の本場アメリカで「アウト」と言う言葉を、日本が明治時代に「死」と翻訳したことに端を発する。当初、「アウト」は「失敗」と訳されたが、日清戦争を経て、選手や観衆の戦闘意欲を鼓舞するため「死」になったといわれている。野球は東アジアの歴史の中で、生死を賭けた戦争のイメージを加味され、生まれ変わったのだ。
韓国は、野球の歴史・観客数・選手層・選手の年俸・社会的な関心という面で見れば、到底、日本のライバルとはいえなかった。韓国野球を「ニンニク・パワー」と呼び、「イノシシが野球をしているよう」と表現した日本球界の人物もいた。しかし、2006年の第1回WBCと昨年の北京五輪で、韓国に2度ずつ敗れたのに続き、今回また韓国に抑えられたことから、日本では「恐韓症」という言葉も聞かれ始めた。
「韓国と日本はたこ揚げ大会をしても血が騒ぐ何かがある」という話もある。こうした状況に、今や「野球戦争」まで加わることになり、両国のスポーツ対決はさらに見応えを増した。実際の戦争には血なまぐさい殺りくや財産の被害が伴うが、野球にはそのようなことがないため、いたずらに過熱することさえなければ、それなりに楽しめるのではないだろうか。
金泰翼(キム・テイク)論説委員
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