病院内の医療ガス事故に注意
今年2月、岡山県津山市の病院で起きた医療ガス供給設備の故障などを受け、厚生労働省は3月3日付で、医療ガスの取り違え事故などを防止するための対策を促す通知(診療の用に供するガス設備の誤接続防止対策の徹底について)を各都道府県宛てに発出した。
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人工呼吸器の酸素など、病院内ではさまざまな医療ガス(酸素、各種麻酔ガス、吸引、医療用圧縮空気、窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素など)を使用している。しかし、医療ガスの取り違えなど、医療ガスに関する事故は患者の生命に危険を及ぼす恐れがあるため、院内での安全対策が求められている。
今回の通知では、「医療ガスボンベと機材の接続部のガス別特定化による誤接続防止対策は、必ずしも十分に実施されていない」と指摘。
その上で、▽「ガス別特定化」などによる誤接続防止対策を徹底する▽「ガス別特定化」が行えない構造の工業用二酸化炭素ボンベなどを診療現場に持ち込まない▽医療ガスの安全管理体制を確保する―などを求めている。
「ガス別特定化」とは、他のガスボンベとの取り違えを防止するため、接続部の形状をガス別に特定化して誤接続しないようにすること。厚労省の1988年の通知(「診療の用に供するガス設備の保安管理について」(昭和63年7月15日健政発第410号)」では、安全・管理に当たり考慮すべき点として、「設備に用いられる機材をガス別に特定、表示し、容易かつ確実に判断することを可能にすると共に、非互換性を確保すること」などを挙げて注意を促している。
しかし、通知後も酸素ボンベと二酸化炭素ボンベの取り違えなど、医療ガス設備の誤接続に起因する事故が起きている。厚労省の担当者は「頻度は少ないものの、酸欠につながる事故の場合には生死にかかわることもあるので、医療関係者には最大の注意を払ってもらいたい。電気や水道などと同じように『ひねるとジャー』という感覚で医療ガスを使用している人もいると思うが、医療ガスに関する事故は数年に1回の頻度で起きているので、『安全対策を思い出してほしい』という趣旨で今回通知した」と話している。
【「診療の用に供するガス設備の誤接続防止対策の徹底」のPDF】
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/090303-1.pdf
更新:2009/03/11 10:45 キャリアブレイン
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