海外

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

がれきの街の子どもたち:パレスチナ・ガザ2009/2 「白リン弾」続く苦しみ

 ◇一歩一歩、笑顔戻り

 白いフリルのついたストライプのシャツ。2月26日朝、ガザ地区北部ジャバリヤに暮らすニマ・フレージさん(11)は50日ぶりに小学校の制服に袖を通しながら期待と不安に包まれていた。「友達はこの足を見てどう思うだろうか」

 ニマさんは1月5日、家の近所におつかいに出た直後、路地でイスラエルの攻撃にあった。「足が水でパンパンに膨らんだような感じになった」。嫌なにおいと白煙が辺りを包む。自由の利かない足をひきずって必死に逃げる途中で意識を失った。

 右足の肉がえぐれ、両足には大小無数のやけどを負った。医師は空気と反応して発火する白リン弾を受けた可能性が高いと診断。皮膚に付くと骨まで溶かすほど激しく燃える「非人道的兵器」だ。

 境界封鎖が続くガザから人道的配慮でイスラエルが出国を認め、ニマさんはサウジアラビアで皮膚移植手術を受けた。

 「まだ足があるって本当?」。ガザで祈り続けた母イテダルさん(43)は手術の成功を伝える電話に涙をこらえられなかった。

 久しぶりの学校。ニマさんは友達と校内を歩き回った。「走るのは難しいけど、みんなが助けてくれるから」。いつもの笑顔が戻っていた。

 ガザ市最大のシファ病院で白リン弾の被害で治療を受けたのは約500~700人。うち約300人が子どもだという。

 白リン弾被害は治療が難しく、長期化に苦しむ患者は多い。アリ・アブハレマちゃん(3)一家は自宅に砲弾が直撃。父(46)と14歳、11歳、8歳、1歳の4人の兄弟が死亡し、アリちゃんは後頭部と背中に、母サバさん(43)も右足に重度のやけどを負った。

 「夫、家、畑。すべて失った。どう生きていけばいいのか」

 言葉を失った母の涙が、懐ですやすやと眠るアリちゃんの顔にこぼれた。【林哲平】=つづく

==============

 ◇海外難民救援金を募集

 災害や戦争、貧困などで苦しむ人びとを支援する海外難民救援金を募集しています。郵便振替または現金書留でご送金いただくか、直接ご持参ください。送料はご負担をお願いいたします。なお、お名前・金額などを紙面に掲載しますので、「匿名希望」の方はその旨を明記してください。

 〒100-8051 東京都千代田区一ツ橋1の1の1、毎日新聞東京社会事業団「海外難民救援金」係(郵便振替00120・0・76498)

毎日新聞 2009年3月10日 東京朝刊

検索:

海外 最新記事

海外 アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報