柔らかい日差しの中を、2人の男性が何やら透明な四角いものを載せた荷車を押しています。前を行く男性ははっぴを着ているようです。その牧歌的な姿と、後方の海外の豪邸を思わせる広い門と青々とした木々が茂る立派な建物とのコントラストが印象的です。さて、ここはどこでしょう。撮影は昭和38(1963)年4月ですが、45年後の現在、この風景は大きく変ぼうを遂げています。
答えはAの六本木です。住所で言うと東京都港区六本木6丁目11ですが、撮影当時の住所は、麻布北日ケ窪町で、後方の建物はアルゼンチン大使館です。荷車を押しているのは金魚売りの行商。この周辺にあったくぼ地では江戸時代から金魚の養殖が盛んだったということです。今、この周辺は六本木ヒルズとなり、おしゃれな人々が足早に過ぎていきます。もちろん金魚売りの姿はありません。【乗峯滋人】
コメント
僕がこの近辺に住んでいた昭和40年代はこの辺り一帯が団地になって仲の良かった同級生が住んでいました。
右手奥ではすぐにトンネル工事が始まり完成後は今の六本木ヒルズが出来るまで随分長いこと通行禁止のままだった記憶があります。
この近辺は金魚屋さんの他に釣り堀や駄菓子屋も点在していて大勢の子供たちが伸び伸びと遊んでいる実にのどかな街でした。
昭和44年に、進学のため東京へ出、
下宿生活を開始しました。撮影当時から6年も経った頃で、東京オリンピック後でしたから表通りは、かなり現在に近いものが有ったように記憶しています。
下宿が、南麻布、六本木まで徒歩20分位の所で、表通りから少し入った所で周囲
1キロには、下町の風情が残った場所でした。その廻りは、マンションが建ち並び
芸能人も多くいて、道ですれ違うことも
度々有りました。
その後卒業し、10年ほど経った頃、尋ね
て見ると、そこは、マンションが建ち並び
昔の面影は、無い場所になっていて寂しい
思い出が有ります。