やっぱり私は気になっていた。
グッスリ眠った気にならず、5時に彼を起こした。
彼は「まだ寝かせてよ」と言っていたけど、予定を組んでいないことが気になっていたので、これ以上寝てもらうわけにはいかなかった。
徐々に明かりをつけていってね、と言われた通りにした。
そしてお風呂の中で、気になっていたことを聞いた。
「何が言いたかったの?はっきり言ってくれないと分からない」と。
「ゆこたんはパニックにならないの?パニックになったら40分はかかるんだよ。どこで休むの?そんなに予定を詰め込んで、大丈夫なの?」
そうか。そういうことが言いたかったのか。
なんで昨日言ってくれないの?
でも彼なりに気を使っていてくれたんだろうな。
私は平然と答えた。
「パニックにならないとは言えないけど、なったらどこかの駐車場とかで休めばいいじゃん。予定を削ったりしてさ」
これでは、どっちが気にしていたのか分からない。
モヤモヤが取れて、彼も目覚めてきて、気持ちよく朝食に向かった。
上品な朝食だった。
私には丁度いい量だった。
彼にしては、量が多く、ヨーグルトが少ないと言っていたけど。
私はコーヒーが飲めない彼の分まで頂き、それから尿意がすさまじかった。
彼は「導尿じゃなくて、コーヒー2杯飲めばいいんじゃん」と苦笑いしていた。
最後にアツアツの二人を楽しみ、チェックアウトギリギリの時間に出ると、他のカップルがホテルの前で記念写真を撮ってもらっていたので、私たちも真似してお願いした。
二人で朝なんとなく決めたコースを回った。
「メルヘンの館」では、メルヘンというには程遠いようなおばさんが、入り口でチケットを売っていて、障害者手帳で割引を使った瞬間から、不機嫌そうな感じだった。
「2階から見てって」と指定されて、庭で写真を撮ってもらおうと”私が”お願いすると「はい、2000円ね」と待ち構えていたように言う。
「払うんですか?」と思わず言ってしまうと、
「払う?・・・・何が!!」とむっとしている。
メルヘンおばさんは、衣装を着て撮影すると思ったらしい。
弁解すると、「あーそうかい」という感じで、でも腕利き良く何枚か撮ってくれた。
だからここは、客が少ないのか・・・。
それから「怪しい少年・少女記念館」や「シャボテン公園」へと回る。
シャボテン公園は、台風一過であまりに暑かったので、通るだけ、が、見てくだけ、になり、ついに入ってしまった。
入場口で、彼にソフトクリームをおごってもらい、おいしく食べていると、いきなりお姉さんが「写真を撮りますので、こちらにどうぞ」と言う。
どうやら、サービスで撮ってくれるらしいので、私たちも自分のカメラを取り出し、撮ってもらった。
おいしかったアイスはドロドロになってしまった。
中はシャボテンだらけなのかと思ったら、動物園みたいなものだった。
シャボテン館は、温室になっていて、めちゃめちゃ暑く、ゆっくりは見ていられなかった。
外は風も強かった。
でも何枚も写真を撮り、林家ペー・パー子のよう!?
出口に向かうと、入り口で撮ってもらった写真を「1500円で」売っていた。
いらんわ!!
ぼったくりだ!!とか、グチグチ言いながらも、自分たちのカメラにもしっかり収めてもらっているので、まぁいいか。
次は、今回の旅行の目的地である「海女屋」というお寿司屋さん。
私は、高級寿司というものを、自分のお金で食べたことがない。
緊張した。
最初に、ねぎとろを食べたけど、この最初のお寿司の味が忘れられない。
本当に美味しかった。
今回は、このお寿司が目的だけあって、お金はけちらないようにしていたけど、彼は違った。
一番高い「大とろ」とかを頼んでいる。
す、すごい!!
いくらなんでもそこまでは、自分が許さない。
私が食べているランクは「へ」とも見ないような感じで、どんどん高級寿司を頼んでいる姿は、まさにまぶしかった。
当然彼のほうが値段も3倍くらいになっていた。
それからお土産を買って、帰りの方角へと向かった。
私は疲れてクラクラしていたけど、家のように寝ていくわけにはいかない。
お菓子を渡したり、地図を見たりしながら、残りの旅行の時間を険悪なムードにだけはしたくなく過ごしていた。
が!その時はやってきた。
高速の料金所に入ったときのこと。
いつもはカードですり抜けるけど、そこは料金を払わなければならなかった。
「ゆこたん。お金出して」と言われて、私は旅行の前に、交通費としてお金を渡しているし、すごく高い金額だと思っていたから「私のから?」と思わず言ってしまった。
少しトラぶって、彼が腰を上げるように見えた。
私は、あ、彼が腰のお財布から出すんだ、と思い、全然お金を用意してなかった。
すると突然「250円」と言われた。
慌てふためいて、思わず彼の財布を掴み、250円を探したけど、500円玉しかない。
私はピッタリの金額でないといけないと思っていたので、困っていると、彼は私の手元から500円玉をひったくると、「お金用意してって言っただろ!!」と、自分のひざをバシバシたたいて、興奮して怒鳴った。
その場が凍ったように思えた。
「だって、出すと思ったから・・・」と搾り出すように言うと「運転手が、金を用意してる暇あるか!!」とまた怒った。
私は黙り込んでしまった。
怖くて、怖くて、飛び降りてしまおうかと思った。
ひき殺されてもいい、と思った。
その場にいるのが耐えられなくて、でも、でも耐えた。
けど、涙はどんどん流れてきてしまった。
お母さんは、いつも料金所では自分でお金を用意する。
でも家とは違うから、自分でもその違いはわきまえていたつもりだけど、ここまで怒鳴られると、自分は何をしても怒鳴られるだけだ、役に立たないんだ、やっぱりダメなんだ・・・どうしてもそう思えてしまって、彼に「ごめんね」と言われるまで、どうしても立ち直れなかった。
パニックになれれば、自分が分からなくなり楽になれるかもしれないとすら思った。
でも「ごめんね」と言ってくれたので「怒鳴らないで。怖いから」と言った。
私は助手席で、気を張っていた。
眠らなかったし、彼の言葉に耳を傾けていた。
彼がイライラしたら、私はなだめていた。
でも怒鳴られたことで、緊張の糸がヘナッとなってしまった。
でも彼が謝っているので、彼のことがやっぱり好きだから、涙を拭いて、大丈夫なふりを全身で表してみた。
「もう大丈夫だよーん」
本当はトラウマになってしまっているくらいなんだけど。
家に一端帰って、荷物を置いた。
彼は母に挨拶したようだ。
母は、この彼の挨拶が、とても嬉しかった、とあとで話してくれた。
現像した写真は90枚近かった。
それだけ料金もかかり、ビックリしたけど。
焼肉を食べ、家に着くと、疲れているのに、お母さんに旅行の話を延々として、お風呂にも入らないで寝てしまった。
グッスリ眠った気にならず、5時に彼を起こした。
彼は「まだ寝かせてよ」と言っていたけど、予定を組んでいないことが気になっていたので、これ以上寝てもらうわけにはいかなかった。
徐々に明かりをつけていってね、と言われた通りにした。
そしてお風呂の中で、気になっていたことを聞いた。
「何が言いたかったの?はっきり言ってくれないと分からない」と。
「ゆこたんはパニックにならないの?パニックになったら40分はかかるんだよ。どこで休むの?そんなに予定を詰め込んで、大丈夫なの?」
そうか。そういうことが言いたかったのか。
なんで昨日言ってくれないの?
でも彼なりに気を使っていてくれたんだろうな。
私は平然と答えた。
「パニックにならないとは言えないけど、なったらどこかの駐車場とかで休めばいいじゃん。予定を削ったりしてさ」
これでは、どっちが気にしていたのか分からない。
モヤモヤが取れて、彼も目覚めてきて、気持ちよく朝食に向かった。
上品な朝食だった。
私には丁度いい量だった。
彼にしては、量が多く、ヨーグルトが少ないと言っていたけど。
私はコーヒーが飲めない彼の分まで頂き、それから尿意がすさまじかった。
彼は「導尿じゃなくて、コーヒー2杯飲めばいいんじゃん」と苦笑いしていた。
最後にアツアツの二人を楽しみ、チェックアウトギリギリの時間に出ると、他のカップルがホテルの前で記念写真を撮ってもらっていたので、私たちも真似してお願いした。
二人で朝なんとなく決めたコースを回った。
「メルヘンの館」では、メルヘンというには程遠いようなおばさんが、入り口でチケットを売っていて、障害者手帳で割引を使った瞬間から、不機嫌そうな感じだった。
「2階から見てって」と指定されて、庭で写真を撮ってもらおうと”私が”お願いすると「はい、2000円ね」と待ち構えていたように言う。
「払うんですか?」と思わず言ってしまうと、
「払う?・・・・何が!!」とむっとしている。
メルヘンおばさんは、衣装を着て撮影すると思ったらしい。
弁解すると、「あーそうかい」という感じで、でも腕利き良く何枚か撮ってくれた。
だからここは、客が少ないのか・・・。
それから「怪しい少年・少女記念館」や「シャボテン公園」へと回る。
シャボテン公園は、台風一過であまりに暑かったので、通るだけ、が、見てくだけ、になり、ついに入ってしまった。
入場口で、彼にソフトクリームをおごってもらい、おいしく食べていると、いきなりお姉さんが「写真を撮りますので、こちらにどうぞ」と言う。
どうやら、サービスで撮ってくれるらしいので、私たちも自分のカメラを取り出し、撮ってもらった。
おいしかったアイスはドロドロになってしまった。
中はシャボテンだらけなのかと思ったら、動物園みたいなものだった。
シャボテン館は、温室になっていて、めちゃめちゃ暑く、ゆっくりは見ていられなかった。
外は風も強かった。
でも何枚も写真を撮り、林家ペー・パー子のよう!?
出口に向かうと、入り口で撮ってもらった写真を「1500円で」売っていた。
いらんわ!!
ぼったくりだ!!とか、グチグチ言いながらも、自分たちのカメラにもしっかり収めてもらっているので、まぁいいか。
次は、今回の旅行の目的地である「海女屋」というお寿司屋さん。
私は、高級寿司というものを、自分のお金で食べたことがない。
緊張した。
最初に、ねぎとろを食べたけど、この最初のお寿司の味が忘れられない。
本当に美味しかった。
今回は、このお寿司が目的だけあって、お金はけちらないようにしていたけど、彼は違った。
一番高い「大とろ」とかを頼んでいる。
す、すごい!!
いくらなんでもそこまでは、自分が許さない。
私が食べているランクは「へ」とも見ないような感じで、どんどん高級寿司を頼んでいる姿は、まさにまぶしかった。
当然彼のほうが値段も3倍くらいになっていた。
それからお土産を買って、帰りの方角へと向かった。
私は疲れてクラクラしていたけど、家のように寝ていくわけにはいかない。
お菓子を渡したり、地図を見たりしながら、残りの旅行の時間を険悪なムードにだけはしたくなく過ごしていた。
が!その時はやってきた。
高速の料金所に入ったときのこと。
いつもはカードですり抜けるけど、そこは料金を払わなければならなかった。
「ゆこたん。お金出して」と言われて、私は旅行の前に、交通費としてお金を渡しているし、すごく高い金額だと思っていたから「私のから?」と思わず言ってしまった。
少しトラぶって、彼が腰を上げるように見えた。
私は、あ、彼が腰のお財布から出すんだ、と思い、全然お金を用意してなかった。
すると突然「250円」と言われた。
慌てふためいて、思わず彼の財布を掴み、250円を探したけど、500円玉しかない。
私はピッタリの金額でないといけないと思っていたので、困っていると、彼は私の手元から500円玉をひったくると、「お金用意してって言っただろ!!」と、自分のひざをバシバシたたいて、興奮して怒鳴った。
その場が凍ったように思えた。
「だって、出すと思ったから・・・」と搾り出すように言うと「運転手が、金を用意してる暇あるか!!」とまた怒った。
私は黙り込んでしまった。
怖くて、怖くて、飛び降りてしまおうかと思った。
ひき殺されてもいい、と思った。
その場にいるのが耐えられなくて、でも、でも耐えた。
けど、涙はどんどん流れてきてしまった。
お母さんは、いつも料金所では自分でお金を用意する。
でも家とは違うから、自分でもその違いはわきまえていたつもりだけど、ここまで怒鳴られると、自分は何をしても怒鳴られるだけだ、役に立たないんだ、やっぱりダメなんだ・・・どうしてもそう思えてしまって、彼に「ごめんね」と言われるまで、どうしても立ち直れなかった。
パニックになれれば、自分が分からなくなり楽になれるかもしれないとすら思った。
でも「ごめんね」と言ってくれたので「怒鳴らないで。怖いから」と言った。
私は助手席で、気を張っていた。
眠らなかったし、彼の言葉に耳を傾けていた。
彼がイライラしたら、私はなだめていた。
でも怒鳴られたことで、緊張の糸がヘナッとなってしまった。
でも彼が謝っているので、彼のことがやっぱり好きだから、涙を拭いて、大丈夫なふりを全身で表してみた。
「もう大丈夫だよーん」
本当はトラウマになってしまっているくらいなんだけど。
家に一端帰って、荷物を置いた。
彼は母に挨拶したようだ。
母は、この彼の挨拶が、とても嬉しかった、とあとで話してくれた。
現像した写真は90枚近かった。
それだけ料金もかかり、ビックリしたけど。
焼肉を食べ、家に着くと、疲れているのに、お母さんに旅行の話を延々として、お風呂にも入らないで寝てしまった。