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政治資金規正法違反:小沢氏公設秘書を逮捕 西松建設からの献金、違法認識の疑い

 ◇西松建設からの2100万円、違法認識の疑い--東京地検

 準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)から違法な企業献金を受け取っていたとして、東京地検特捜部は3日、小沢一郎民主党代表の公設第1秘書、大久保隆規容疑者(47)ら3人を政治資金規正法違反の疑いで逮捕し、小沢氏の資金管理団体「陸山会」(港区)を家宅捜索した。大久保容疑者は否認しているとみられるが、捜査の行方は政界にも大きな影響を与えそうだ。

 ほかに逮捕されたのは、西松建設前社長、国沢幹雄(70)=外為法違反で起訴、元同社総務部長、岡崎彰文(67)両容疑者。

 逮捕容疑は、陸山会の会計責任者だった大久保容疑者が03~06年、西松建設から計2100万円の献金を受け取りながら、政治資金収支報告書には同社OBが設立した二つの政治団体からの献金だったと虚偽の記載をしたとしている。国沢、岡崎両容疑者は西松建設の名前を隠して政治団体名義で陸山会に献金した疑いが持たれている。

 政治資金規正法は00年以降、政治家の資金管理団体への企業献金を禁止。他の名義を使った献金も禁じている。

 これらの規定が適用され、刑事事件に発展したのは異例だ。

 同社関係者によると、小沢氏側に献金していたのは同社OBが設立した政治団体「新政治問題研究会」(95年設立)と「未来産業研究会」(98年設立)の二つで、ともに06年末に解散した。

 この2団体の会費は、部課長クラス以上の一部社員が現金で支払い、あとで会社が賞与に上乗せする形で補てんする仕組みだったとされる。外為法違反事件で、捜査対象となった裏金は使われていないとみられる。

 ◇代表進退に波及も

 政治資金規正法違反容疑での公設第1秘書逮捕は、民主党の小沢一郎代表の進退に波及する可能性が出てきた。小沢氏は周辺に、「絶対に戦う」と話したというが、中堅議員から「小沢氏に居座ってもらっては困る」との声があがるなど、党内に動揺が広がっている。

 鳩山由紀夫幹事長は事務所捜索と会計責任者逮捕の一報を受けて3日夕、東京都内で記者団に「直前に小沢代表と会った折には『資金の出し入れは基本的にすべてオープンにきちんと処理しており、全く問題はない』と言っていた」と強調。

 そのうえで「そのことを信頼しているが、いずれ小沢代表自らが説明されると考えている」と述べ、小沢氏自身の説明を見守る姿勢も示した。

 小沢氏が今後も代表を続けるかと問われると「当然そうだ」。さらに「事実をしっかりと国民に見ていただくのが大事だ」と述べた上で「選挙への影響は当然出る。これで国民の信頼を失ってはいけない」と語った。

 小沢氏は3日午後3時過ぎから党本部で幹部会に出席し、問題に関して「法令に従って適切に処理している」と説明した。民主党は4日午前、党本部で緊急の役員会を開き、対応を協議する。終了後、小沢氏自身が記者会見で問題について説明する。【佐藤丈一】

 ◇故・金丸氏以来の結びつき

 西松建設が小沢代表の資金管理団体に多額の献金をした背景には、同社と故金丸信・元自民党副総裁の深い結び付きがあったとされる。

 元役員の一人は「政界で、うちと最も関係が深いのは、経世会(自民党旧竹下派)と金丸先生だった」と話す。「竹下派七奉行」の中で、金丸元副総裁が特に重用したのは小沢代表だった。「東北・北関東では王様」(同社関係者)と呼ばれるほど、小沢代表は建設業界に強く、西松建設は92年の金丸元副総裁の議員辞職後、結びつきを強めるようになったという。

 ◇捜査、自民側にも

 西松建設の二つの政治団体は、解散までの約10年間に計約3億8500万円を与野党の国会議員や自治体首長らに献金しており、特捜部は自民党議員の会計責任者についても、立件を視野に捜査を進めるとみられる。

 政治資金収支報告書が閲覧可能な04~06年に主な有力議員の資金管理団体が受けた献金額をみると、自民党議員への献金は▽尾身幸次衆院議員400万円▽森喜朗元首相300万円--など。

 また、二つの政治団体は自民党二階派「新しい波」のパーティー券計約838万円を購入していた。

毎日新聞 2009年3月4日 東京朝刊

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