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[WSJ] Appleに挑む“勝手iPhoneアプリ”ストア

App Storeにない「非公認iPhoneアプリ」を販売するオンラインストアが登場する。「iPhoneの改造は違法」とし、アプリを厳しく管理するAppleから訴訟を起こされる可能性も。
2009年03月06日 16時17分 更新

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 非公認のiPhoneアプリを販売するオンラインストアが登場する中で、AppleのiPhone事業への脅威が拡大している。

 人気iPhoneアプリの開発者が、Appleの公式ストアでは手に入らないiPhoneアプリを販売するCydia Storeというサービスを3月6日に立ち上げる。販売するアプリは数百に上る可能性がある。ユーザーはアプリを実行する前に、iPhoneに改造を加える専用ソフトをダウンロードしなくてはならない。

 別の企業は、非公認アプリを購入するための改造をまだiPhoneに施していないユーザーのためのストア「Rock Your Phone」を計画している。iPhone向けのアダルトゲームを専門とするオンラインストアを構築している新興企業もある。

 これらの新しいストアは、iPhoneの成功の基盤の1つである、AppleのApp Storeを標的に据えている。昨年7月にオープンしたApp Storeは、ゲームからニュース、エンターテインメント機能まで、独立系開発者が作った数千のアプリケーションを販売しており、顧客はこれらアプリを簡単にiPhoneにダウンロードできる。アプリはたいてい無料か99セント程度だ。

 AppleはApp Storeを開いたときに、プログラマーがiPhoneで動作するソフトを開発できるツールを提供した。だが、品質維持とユーザー体験の保護のために、提出されたアプリを審査する方針も明らかにした。

 同社はApp Storeでアプリを販売している開発者から売り上げの30%を手数料として受け取っているが、同サイトでの売上高を明らかにしていない。証券会社Piper Jaffrayの推定では、同サイトの昨年の売上高は約1億5000万ドルで、今年は8億ドルに増える見通しだ。

 Appleにコメントを求めたが、回答はなかった。だが同社は以前に、iPhoneではiPodのようなクローズドなデバイスと、PCのようなオープンなデバイスの中間でバランスを取ろうとしていると話していた。

 上述の新しいiPhoneアプリサイトは、Appleの公式ストアでは売れないようなアプリも販売できる。AppleはApp Storeで許可するアプリの種類を厳しく管理している。同社が認めていないアプリには、iPhoneをビデオカメラにする無料ソフト「Cycorder」がある。iPhoneをインターネットに接続するノートPCモデムにする29ドルの「PdaNET」もだ。

 Cycorderの開発者でCydia Storeを立ち上げるジェイ・フリーマン氏(27)は、同氏のような開発者が努力の対価を得られるようにするため、ストアを開設することにしたと話す。コンピュータサイエンス博士課程の学生である同氏は、開発者から徴収するCydia Storeの課金サービスの手数料をApp Storeと同程度にするつもりだとしている。

 Cydia Storeなどのストアにとって大きな障害は、彼らが販売するアプリが、たいていは非公認アプリをダウンロードできるように改造(Jailbreak)されたiPhoneでしか使えないということだ。

 Appleは、iPhoneのJailbreakは著作権法違反だと主張している。フリーマン氏によると、同氏がiPhoneを改造するために開発したソフトは、約170万台にインストールされているという。

 Appleにとって、ソフトウェアは消費者が199ドルでiPhoneを購入した後でも同製品から収益を得続けられる重要な手段となっており、こうした非公認ストアは同社の売り上げを減らすかもしれない。

 App Storeは消費者にiPhoneを使い続けさせるという点でも戦略的に重要だ。App Storeでは既に5億以上のアプリケーションがダウンロードされている。

 だがApp Storeは技術的な理由や内容の問題から、提出されたアプリの一部を却下している。またアプリケーションが多いため、新規の開発者が自分のプログラムに注目してもらうのは難しいかもしれないと、Apple関連ニュースサイトTidBITSの発行人アダム・エングスト氏は指摘する。「その点では独立系のストアの方がうまくいく可能性が残る」

 サミール・シャー氏(25)はCydia Storeを支援する開発者の1人だ。2年前に大学の友人2人とSnapture Labsを立ち上げた同氏は、写真をズームしたり、サイズを変えたり、すぐに写真のプレビューができる7.99ドルのカメラアプリを開発した。

 「競争は常に良いものだ」とシャー氏は言う。「競争は革新を生む」

 Appleは戦いの準備をしているようだ。同社はiPhoneを改造したり、改造版iPhoneで動くアプリを作っている団体や個人に対して訴訟を起こしてはいないが、先月には米著作権局に27ページの意見書を提出している。意見書で、同社はiPhoneの改造ソフトの利用はデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の下で違法になると主張している。

 カリフォルニア大学バークリー校ロースクールでデジタル著作権法を専門に研究するアーロン・ペルザノウスキー教授は、Appleから違法だとして訴えられた場合、開発者はDMCAの下で「非常に説得力のある」弁護ができると確信している。ただし、法的にはほとんど未踏の領域だ。

 Cydia Storeのフリーマン氏は、Appleからの電子メールが来ているか毎日注意している。一か八かでやっているわけではなく、Appleから訴えられた場合に備えて弁護士を手配しているという。「選択肢を提供することが目的だ」と同氏は言う。「(Appleが)アプリを管理したがっているのは理解できるが、開発者とユーザーに大きな制限が課せられてきた」

[Yukari Iwatani Kane,The Wall Street Journal]


この記事はダウ・ジョーンズとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。

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