もう十何年も前に「公務執行中の公務員に肖像権はない」と聞いて、ずっとそういうものだと思っていた。 今日あらためて、やほおで検索して、あ、いや、Google で検索して、どうもこれは都市伝説っぽいと思うに至った。 公務員に肖像権はないと書いてあるホームページはいくつも見つかる。中には「最高裁の判例がある」とまで書いてあるページまである。しかし、その根拠を明白に提示しているページは見つからなかった。最高裁の判例というのも見つからない。 少なくともどこかの法律に「公務執行中の公務員に肖像権はない」と書かれていることはない。これは確実だ。そもそも「肖像権」自体が法律で定められているわけではない。 また、「最高裁の判例」というものにしても、そのものズバリで「〜肖像権はない」という判例が出たものではないようだ。何らかの判例から類推すると、公務員には肖像権がないと解釈できるのかも知れない。が、そのようなこと、法律の専門家以外が勝手に類推することはできないし、本当に裁判にでもなったりしたら、予想もしなかった(しかし法的には正しい)判決が出ることになるかも知れない。 関連しそうな最高裁の判例は見つかったのだが、それを読んでもやはり「公務執行中の公務員に肖像権はない」とは読めない。その判例を要約すると「状況を総合的に判断して」ということになる。 例えば警察官に取り調べを受ける際、自分が当事者であり、取調べの方法に違法性がなかったかどうかの証拠としたいといった正当な理由があれば、警察官の写真や動画を撮影しても、即刻「肖像権の侵害」といったことにはならないだろう。 一方で、美人の婦警さんがいるから写真を撮ってブログにアップしようとかいった理由では、「肖像権の侵害」と言われても仕方がない。 なお、見つかった判例というのは次のようなもの。 平成17年11月10日最高裁第一小法廷判決 「違法となるかどうかは、被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等を総合考慮して、被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである」 だが、この判例はずいぶんと最近のもので、私が「公務員に肖像権はない」と聞いた時代のものではない。 「公務執行中の公務員に肖像権はない」というのは、もともとは都市伝説であったし、2009年3月現在も、都市伝説の域を出ていないようだ。 |
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