2009年02月15日
東上線放蕩飲酒行脚
2月9日・月曜日。外で呑むつもりはなか
った。前日はちょっと贅沢をしたので、翌日
に倹約をするのは必要なことでもあった。
だが、そういうときに限って、酒の誘いと
いうのはあるものらしい。18時過ぎに携帯
の着信音が鳴る。某風俗誌の元編集長・
Mクンからである。
「渋谷さん、どうですか一杯?」
前夜のハシゴ酒で肝臓はまだ本調子で
はない。もちろん懐具合は寒さを通り越し
て冷えきっている。本来ならば千円も使え
ないところなのだ。
彼は練馬在住である。今からそこまで遠
出は無理だと答えると、ならば成増でどう
か?と言う。
仕方がない。この日唯一の食事と晩酌を
セットにする心算で、20時、東武東上線の
成増駅・北口に所在する「坐和民」の暖簾
をくぐった。
月替わりのおススメメニューから、寒ブリ
の握り(寿司)やちゃんこ鍋を注文し、瓶ビ
ールで乾杯。Mクンは週末、タイのバンコ
クに出かけるという。何の目的で行くのか
は知らないが......。
にしてもである。彼は風俗誌の編集長を
勇退し、版元の出版社を辞めてからは職
に就いていない。まだ雇用保険の受給期
間中とはいえ、それは今月で終了だ。
家賃7万6千円。年金や健康保険はす
でに自己負担。昨年度の収入に応じた市
県民税の支払いもあろう。毎晩のように外
で飲み歩いたり、ましてや海外旅行なん
て、もってのほか、のハズだ。
その疑問をストレートにMクンにぶつけ
ると。
「だってボクいっさい払ってませんもん」
.........。そうか、そういうことなのか。それ
ならば余裕があるハズだ。苦しみはギリ
ギリまでアト回しにする。さすが快楽主義
者。僕は妙に感心した。
2人前の鍋をたいらげたころにはお開き
にするつもりだった。しかし、彼はどうやら
エンジンがかかってしまったらしく、もう1
軒イク。キャバクラにイコう!と言って聞
かない。
「『パーティ』イキましょうよ『パーティ』!
みずほ台の」
........。パーティとは東上線・みずほ台
駅にハコを構えるキャバクラ「パーティ・
パーティ」のこと。彼は以前鶴瀬に住んで
いた。帰宅途中にみずほ台で下車しては、
同店で豪遊していたのだ。そこを何年ぶ
りかに訪れたいという。
当然、一晩をみずほ台で過ごすつもりで
ある。宿泊は駅前のホテル「カナダ」を利
用するという。「パーティ〜」の飲み代は
貸すという。
オゴリではなく貸し、というのがひっかか
ったが、つき合うことにする。でも訪れた
とき同店はすでに満卓。おまけにあとワ
ンセットでラストだ。しかし「パーティ〜」
のため、終電を棒にふったMクンにはど
うでもいいことなのだ。
「パーティ・パーティ」は僕も取材やら
プライベートやらで何度か呑んだことが
ある。いい意味でローカルなお店であり、
当然単価は格安。キャストレベルも高い。
ワンセットを堪能し、同店をあとにする。
僕はもうここらへん記憶が定かじゃない。
深く酔ってしまったのだ。それでも、もう1
軒近場のキャバクラへイコう!とMクン
が息まいたのは覚えている。駅前のキャ
バというキャバは、すでに看板を片付け
ていたのだが。
結局、これも駅前にあるバー「ATH」に
腰を落ち着けた。勘定はMクン持ち。いっ
たい彼はいくら散財するつもりなのか。
ここでもラストまで呑み続け、僕はもう
フラフラだ。Mクンはというとまだ足りない
らしくコンビニで缶ビールやつまみを購入。
ホテル「カナダ」でアダルトチャンネルを
観ながら呑むつもりだ。
ホテルのシングルルームで30分ほど
彼とつき合い、僕は「カナダ」をあとにし
た。この時点でかすかに頭痛はし、鉛を
飲んだように胸が重い。マズイ、また地
獄が訪れる!
翌日、陽の暮れるまでベットの中での
たうちまわったことは、いまさら詳細に記
すまでもなかろう。Mクンからはトータル
で1万も借りるハメになってしまったし。ト
ホホ...........。