十三歳は将来をどう描いているのだろうと、広場面の「ヤングスポット」を読み返した。スタイリスト志望の女子は「たくさんの人をきれいにし、笑顔になってもらいたい」。教師を目指す男子は「数学がだんだん好きになり、教えてみたくなった」▲中学に入り、進路をイメージできる年齢だろう。そのために何をすべきかも考え始める。早い子は目標を絞っているかもしれない。気象予報士の「パスポート」を史上最年少で手に入れた十三歳のニュースもあった▲将来を描けなくなった十三歳がいる。日本生まれのフィリピン人、カルデロン・のり子さん。埼玉県の中一だ。両親の不法滞在が分かり「家族と一緒に出ていくか、一人で日本に残るか」と迫られている▲「日本人と思って生きてきた」という。帰ってもタガログ語は話せないし、友達もいない。家族で残りたいと嘆願し、日本人の署名も集まった。しかし東京入国管理局は父親を収容し、のり子さん一人で残るのが嫌なら母ともども収容するという▲生まれた国で、家族一緒に自分の将来を描いてはいけないの? 自身に何の過失もない十三歳の訴えに多くの人の胸は痛むだろう。「法律」と「人道」と。折り合いをつけて「日本でダンスの先生に」という夢をつぶさずに済む道はないか。
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