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【社会】

野生の母ザルが子に歯磨き教育 京大がタイで確認

2009年3月10日 20時21分

 人の髪の毛を歯間磨きのように使い、子どもに歯磨きを見せる母ザル(京都大霊長類研究所・正高信男教授提供)

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 人の髪の毛をデンタルフロス(歯間磨き)のように使うことを覚えたタイの野生ザルの群れで、母親が子どもと向き合いながら大げさな身ぶりで歯磨きのやり方を“教育”していることを、京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)の正高信男教授らが突き止め、米科学誌に10日発表した。

 同研究所によると、親が子に道具の使い方を教えるのを野生のサルで確認したのは初めて。

 チンパンジーやニホンザルの群れで、シロアリを巣から草で釣り上げたり、イモを海水で洗ったりする行動が広がった例は知られているが、一般的には子が親のやり方を単純にまねていると考えられてきた。

 こうした文化的な行動の広まりに、親の積極的な働きかけがあったことを示す成果。正高教授は「人に近い動物なので教育の起源を解明する手がかりになるかもしれない」と話している。

 グループは昨年2月から約1カ月、タイ中部の寺院跡近くにすむカニクイザルの群れ約250匹を観察。群れでは10年前から、落ちている人の髪の毛を両手に持って歯の間を掃除する行動が見られるようになり、100匹近くに広まったという。

 幼い子ザルがいる母ザル7匹に注目し、髪を口に出し入れする回数や、歯の間をこする時間を計測。子ザルが目の前で見ている場合は、見ていない場合に比べて回数が2倍に増えた。時間もたっぷりかけて磨き、しぐさが大げさになる傾向も確認できた。

(共同)
 

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